『Call of Juarez® Gunslinger』その男、酔いどれにつき

ゲームタイトルCall of Juarez® Gunslinger
    開発元Techland
パブリッシャーUbisoft
     定価:1,480円

筆者:SHINJI-coo-K (池田伸次)
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Call of Juarez® Gunslinger

時は1910年。T型フォード自動車が走り始め近代文明の萌芽が立ち現れつつある時代、場所はカンザス州アビリーン。
馬を駆る長髪の老人は酒場に入ると名を尋ねられ、サイラス・グリーブス、と名乗った。

三十年前である1880年に遡って昔話をする代わりとしてタダ酒を振る舞われながら、サイラスは饒舌に語り始めるのだった。かつてバウンティハンターだった過去を。

Call of Juarez® Gunslinger

このような導入で始まる本作は結論から述べると傑作シューターだ。その魅力の芳香があなたに届きますよう、如何に傑作なのか語らせて頂こう。

Call of Juarez® Gunslinger

・傑作西部劇シューター!

本作は西部劇をモチーフに描いたFPSで、シューター部分が非常に優れている。例えば射撃時のサウンドは派手で一発一発撃つときの心地よさといったら半端じゃない。ここでFPSのシュート要素を改めて分解してみよう。

物事には“原因・過程・結果”があり、シューターに置き換えると“撃つ・当たる・敵が死ぬ”にあたる。
これを細分化すると『動く→狙う→撃つ→当たる(プレイヤーの行動)→敵が被弾モーションを取る→血を噴き出すなどの演出が入る→敵が死ぬ(ゲーム側の反応)』になる。
これらの要素がぎくしゃくせず流暢に進行する事が、気持ちのいいシューターの条件だ。本作では、プレイヤーが動く部分はスピーディでノンストレスだし、エイム時の照準線はきびきび締まっていて違和感を与えず、撃ったときの派手なサウンドは耳に気持ちいいし、敵が倒れる演出はハッタリが効いていてとても楽しい。

とても楽しい!
Call of Juarez® Gunslinger
Call of Juarez® Gunslinger
Call of Juarez® Gunslinger
Call of Juarez® Gunslinger
左上から時計回りにリボルバー、ライフル、ショットガン、ソウドオフショットガン

本作で使用可能な武器はリボルバー(計三種ある)とライフル、ソードオフショットガン(なんと二丁同時に持てる)に、切り詰めていないショットガンの四種類だ。
前述したプレイフィールを実現にするにあたって、オートマチックの銃など必要ないということを証明してみせた本作は、繰り返すが傑作シューターだ。たった六発のリボルバー弾で一度もリロードすることなく六人の頭を撃ち抜いた時の興奮といったら半端じゃない。
また、戦闘では時間をスローにして敵を赤くハイライトする“早撃ちモード”や、一発だけ致命的な一撃をかわす“死の予感”などのシステムがある。

Call of Juarez® Gunslinger
早撃ちモード時の画面。左上の銃のマークゲージが尽きるまでこのモードは持続可能だ。 また、右上のドクロマークが死の予感で、これが色付きになっていれば発動出来る

二丁拳銃もデフォルトでは右クリックでエイミングモードに入るが、オプションから“アキンボ”スタイルに変えることにより、右クリックで右の銃を撃ち左クリックで左の銃を撃つように変更可能で、様々なスタイルを許容してくれる。精密に狙いたいときは一丁だけ構えてアイアンサイトを覗いても良い。

Call of Juarez® Gunslinger

更に戦闘するロケーションも豊富で、ゲームは概ね一本道のリニア進行だが退屈さとは全く無縁で居られる。

Call of Juarez® Gunslinger

・Call of Juarez Gunslinger の世界観

下敷きにされているのは19世紀に流通していた“ダイム・ノベル”で、これは10セント(1ダイム)で販売されていた三文小説、或いは大衆小説のような通俗娯楽を扱ったものだ。西部開拓時代を取り扱った作品も多く、とりわけビリー・ザ・キッドのような人物は“グッド・バッド・マン”として好意的な虚構を織り交ぜて描かれた。
登場人物の“ドワイト”はダイム・ノベルの愛読者で、サイラス・グリーブスの話をまるで「ダイム・ノベルのようだ」と好意的に受け止めるが、裏を返せばサイラスがそれだけ虚構じみた話をしているということになる。何しろ酒をあおりながら「アパッチに囲まれて…いや違ったカウボーイだ」なんて具合だ。面白いのが、サイラスの話に合わせて実際にアパッチに囲まれて戦闘をしながら、話が変わったと思ったら突然カウボーイが現れるような突拍子の無さだろう。前述した、豊富なロケーションに併せて豊富なシチュエーションも備えているのが本作の魅力の一つだ。

Call of Juarez® Gunslinger

さて、あなたはもしかしたら西部劇に疎いし興味も薄いかも知れない。だがそんなあなたも気後れは要らない。何故なら本作には“真実のかけら”なるコレクションアイテムが各レベルに配置されており、これを収集することによりおよそ史実を示した西部開拓時代の情報が閲覧可能になるからだ。これはきちんと場面に沿った情報が配置されるので(ビリー・ザ・キッドのエピソードで彼に関する史実を示した物が置かれる等)好奇心をくすぐられることだろう。それに本作をプレイすればきっと西部劇を好きになるだろう。何しろ、西部開拓時代の様々な人物の魅力が、誇張に次ぐ誇張によって表現されているからだ。

人物の登場シーンはどれも格好良かったり笑えたりして最高だ

・シュート、ヒット、決闘!

次に本作の最もユニークなシーン“決闘”を紹介しよう。
決闘では左右に動く手をホルスターの位置に合わせて銃を引き抜く速度を上げ、ふらふらと移動する目線を敵に合わせ続けて銃を引き抜いてから、照準線の精度を上げ、敵が銃を抜いた瞬間に敵よりも早く引き金を引き撃ち倒せば『名誉の勝利』だ。敵が銃を抜くより早く銃を抜く事も出来るが、この場合『不名誉な勝利』となり取得出来るスコアが低くなる。

Call of Juarez® Gunslinger
名誉を守りながら奴の毛穴か鼻の穴を増やしてやれ!

取得出来るスコアで何が出来るかというと、レベルを上げてスキルをアンロックするのに使用出来る。一つのスキルツリーを極めれば特定の銃の強化版“伝説の武器”を取得出来る。
また、スコアはヘッドショットや遠距離からの射撃ロングショットなどでも加算される。よって戦闘中の画面は騒がしくて退屈しないが、こういったゲーム然とした演出を好まないのならHUDオプションから切ってしまえる。

Call of Juarez® Gunslinger

本作には無料のデモ版があり第一章を丸々プレイ出来るので、興味を持ったならまずはデモ版を触って欲しい。

Call of Juarez® Gunslinger
そして本作は、ストーリーにも絶妙な仕掛けが打たれている

さてさて、酒が回ってしまったかのようにふらふらと語ってしまったが許して欲しい。何しろ、本作から漂う芳香といったらまるで最適に古いジャックダニエルのように魅力的で、プレイする者をしたたかに酔わせるのだから。

願わくば、あなたもサイラス・グリーブスと一緒に酔っ払って下されば光栄だ。
酒宴は十時間前後で終わる。二次会の参加は任意だから楽しく参加してもらえたらと思う。

そして酔いが覚める頃に知るだろう。
昔話と今の話を通じ、物事を清算するのは一瞬の出来事なのだという示唆を与えてくれる老人にこそ、真実のかけらが宿っている、と。

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