あなたが、Steamをインストールされたキッカケは何だろうか?私の周りの古いフレンズたちは『オレンジボックス(HALF-LIFE2)』と答え、今でも“スチムー”とか「SteamはCounterStrike専用クライアント」などと当時のことを言う人も中にはいる。だが、そんなキッカケが意外な人も珍しくはない。例えばそう、記事を書いているこの私がそうだ。唐突に『Tomb Raider Anniversary』をプレイしたくなり、パッケージを買って到着するのを待つのもめんどくさいと言う安直な理由でSteamをインストールしたのが全ての始まりである。
過去の記事(CLANNADとルナティックドーンの記事参照)でも当時のゲーム状況を書いたことがあるが、Windowsが猛威を振るう以前はDOSというコマンドを打ち込むことで動かすOSがメインだった。しかし、このDOSは今ではお馴染みのGUI(エクスプローラーを想像してもらえれば早い)がなかったため、動作をさせるのにも一工夫が必要とされ、非常に面倒だったのだ。さて、ここで頭に“?”を浮かべている人もいるのではないだろうか。いきなりそんな「DOSの話が出てくるのか」とか、「Tomb Raiderだから昔の話を始めたんだろう?」と思われているだろうことは容易に想像できる。しかしだ、今回紹介するのは『Tomb Raider Anniversary』ではない。
そう、そのまさかだ。初代『Tomb Raider I』を今週は紹介する。
1997年に発売された本作品は当時センセーショナルに受け入れられた。今でこそ女性主人公は珍しくないが、当時は火星で海兵隊員が暴れまくる『DOOM』というタイトルが海外ではキラータイトルだった時代である。FPSではなく、第三人称視点での探索と高難度の謎解きが組み合わさったアクションゲームであるが、当時ここまで完成度の高かった作品は本作品以外にはなかったと言ってもよいほど素晴らしいものである。
主人公であるララ・クロフトはトレジャーハンターでありながら、才色兼備の知的なキャラクターとして描かれている。ただ、彼女の生い立ちは初代では設定として存在しているだけであまり詳しくは掘り下げられない。
本作品のストーリーは、世界的企業のナトラ・テクノロジー代表のナトラ女史よりインカ帝国の秘宝を手に入れて欲しいという依頼を受けるところから始まる。受けるつもりもない彼女であったが、亡くなった父親が生前追っていたテーマでもあったため引き受けることになり、南米の山中にある古代遺跡に訪れることから長い物語は始まる。
さすがにムービーは今の時代で見ると荒いとはいえ、ゲーム中のグラフィックは綺麗な部類に入る。640*480の狭い画面であるが、好奇心と恐怖を煽る適度な遠景と、あらゆる見える箇所に移動可能なスケールの広いステージを実現しているのは非常に特筆すべき点である。ステージ制になっており全15ステージあるが、1ステージ毎の内容は最近のゲームに引けを取らないほどのボリュームを誇る。
20年近く前のゲームのため、操作方式はかなり独特なものになっている。操作に対するレスポンスはかなりよく、慣れればある程度思うように操作はできるようにはなる。ただし、これはコントローラーの話で、キーボード操作の場合は慣れるまでやや時間がかかるだろう。ただ、操作に慣れてしまえば探索もスムーズになり、遺跡を動き回るのも楽しくなる。
だが、本作品の遺跡の探索は命がけで内部には危険も多い。野生動物や盗掘者を阻止するための危険な仕掛けも数多く存在しておりプレイヤーの探索を阻んでくる。左上に見えるライフが0になれば問答無用でゲームオーバーとなる。F5を押すことでどんな場所でどのような状況でもセーブが可能なので慎重に進むとよい。
ギリギリのジャンプもあれば水中を泳ぐこともある。進むにはどうすればいいか、行きたい場所へ行くにはどのように行けばいいかを考え、謎を解いたときの感動はひとしおだろう。頭をフル回転させなければ解けない謎が多々存在する。
また、探索で見つけられる物はそれだけではない。アイテムがおかれたシークレットと呼ばれる隠された部屋がステージ毎に幾つか存在している。発見できれば独特のSEが鳴るためちゃんと発見したことを把握できるようになっている。シークレットの近くに来た際にはキラキラという音も聞こえるのでコンプリートも目指すなら頑張って探してみるといいだろう。
上記の画面は、この初代のリメイクとなる『Tomb Raider Anniversary』のOPの冒頭である。リメイクで追加されて別物になった部分はあるが、基本的にはオリジナルである初代とのプレイフィールは(やや簡単になった難易度を除けば)そこまで変わってはいない。今ここでリメイクを引き合いに出したことに、どちらかを蔑もうとする意図は全くない。現在、オープンワールドとなった最新作まで彼女が歩み続けたシリーズは、今回紹介したオリジナル版あってのものである。今プレイしてもグッとくる操作感を始め、プレイヤーに挑戦的な難易度の謎解きを迫る遺跡探索、激しい銃撃戦と、詰めに詰め込みながらも破綻をきたすどころか楽しさを感じてしまう本作品を、今だからこそプレイしてほしいのである。
余談であるが、今回の記事タイトルである「私の名前は「ララ・クロフト」」はTomb Raider 3の日本語版のコピーから引用している。当時、日本語版では2までレイラ・クロフトという名前であったため、本国と名前が統一されそのようなコピーが誕生した。今現在もビッグタイトルであり、世界的キャラクターとなった彼女と作品を指すにはちょうど良いだろうと引用させていただいた。
20年前世界を熱くしたゲームプレイヤーへの挑戦状を是非とも受けてみて欲しいところだ。
インストールしたファイルを触るため、自己責任で行なっていただく旨をあらかじめ記述しておく。この作業におけるトラブルに関して一切の責任は取れない。
そのため、ファイルを上書きしたくない場合はJoyTokeyに代表されるコントローラーにキーボードの入力を代替させられるようなソフトを使えば問題は無いし簡単ではある。似たような機能を持つSteamコントローラーでも同じことが可能だ。
ただし、コントローラーの反応遅延を非常に気にする場合や、本体側から設定したい場合は少し話が変わってくる。というのも、本作品はエミュレーターを介することでゲームを実行しているのだが、使用しているVerが若干古いためエミュレーター本体側でコントローラーのアサイン設定が使用できない。そのためDOSBOX(DOSBox SVN builds)の最新版を全て上書きして導入後、起動後に“Ctlr+F1”を押すことで割り当て画面に移行できる。移行後は割り当てたいキーをクリックした後、下にあるAddのボタンを押せばアサイン可能だ。全てアサイン後に一番右下のSaveを押すことで設定を保存できる。