※今週はOneShot日本語リリース記念として、編集部による特別紹介記事をお送りいたします。
『OneShot』は、見知らぬ世界で救世主として目覚めた「ニコ」を導くパズルアドベンチャーだ。プレイヤーはニコから「神様」として認識されており、話しかけられたり、時にこちらから話しかけたりもできる、いわゆる”メタ構造”を取り入れた作品である。
本作は元々、RPGツクール(英語名:RPG Maker)のコンテストに投稿された無料プレイのゲームであった。その後、製作エンジンを変更し、新たなストーリーとギミックを加える数年の開発期間を経て、2016年12月に完全版としてSteamでリリースされた。
プレイヤーは、太陽が失われ徐々に崩壊する世界を救うべくニコを導く。暗闇が支配するこの世界では、ニコの持つ電球、そして光り輝く目がとても「特別」らしい。行く先々で寄せられる期待の声や励ましの言葉に戸惑いながらも、ニコは自分がなぜこの世界にやってきたのかを解き明かしてく。
物語の舞台となる世界は、大きく3つの地域に分かれている。毒ガスが噴出し、あらゆる生き物が死に絶えた無機質な「不毛の地」。ぼんやりと発光するコケに覆われた「峡谷」。そして高層ビルが立ち並び、人々が身を寄せ合って暮らす「避難所」。
太陽が失われたこの世界では、光源となる物質は非常に貴重なようだ。人々は光るエビやホタル、蛍光植物を細々と消費しながら、来る崩壊の日にむけて静かに暮らしている。怯える者、逃げ出す者、諦める者、そして諦めない者。様々な思惑を抱える人々に助けを借りながら、ニコとプレイヤーの旅は続く。
本作は「パズルアドベンチャー」と謳われているが、とは言えそこまで難しい謎解きは無い。基本は人々との会話からヒントを得ながら、アイテムを組み合わせたり、パスワードを解き明かしたりして進んでいくオーソドックスなものだ。
ただし、時には既存の枠にとらわれず、プレイヤーにしかできないような方法を使ってパズルを突破することも必要となる。あっと驚くような場所にヒントが出現したり、特殊な操作を要求されたりと、手を変え品を変えプレイヤーを楽しませてくれる。
旅の途中では、大事な何かを失うことになるかもしれない。難しい選択を迫られることもあるだろう。
だが、上手くいかなくてもリセットすればいい、喪失もなかったことにすればいい、そんな考えはこのゲームでは通用しない。なぜならチャンスは<OneShot>、一度きりなのだから。
『OneShot』はあらゆる方法であなたの世界を侵食する。高見の見物とタカをくくっていると、いつのまにかニコの冒険に絡め取られてゆき、気付けばゲームの世界に入り込んで必死にもがいているだろう。まるでゲームが自ら意思をもって、他の誰でもないあなたを選び、助けを求めているかのように。
本作が第四の壁を越えて与えうるその影響に気づいたとき、恐ろしくも未知の体験にワクワクしている自分に気づくはずだ。
それにきっと、しばらくは日常生活でもニコの魅力が頭から離れない。