個性豊かな虫たちが織り成す横スクロール型2DアクションRPG、それが今回ご紹介する『Hollow Knight』という作品。広大な廃墟と化した虫の王国を舞台に、多くを語らない主人公は、冒険の途中で個性豊かなキャラクターたちと出会い、自身の運命を切り開いていく。今作は、主人公と一緒に『Hollow Knight』という物語を紡いでいくゲームである。
昔懐かしい王道の2Dアクションは、コントローラーとの相性抜群。近接攻撃を基本とし、敵との間合いを測りながら攻撃を当て、敵の行動パターンを研究し、うまくかわしながら戦う。ストーリーを進めていけば、それだけ技の種類も増えていく。
このゲームの特徴は、『チャーム』と呼ばれる装備アイテムの使い方だ。一つ一つのデザインが凝っていて、集めるのが楽しい。攻略に役立つのはもちろん、見ているだけでも十分楽しめるほど、目を惹かれるデザインだ。
装備アイテムということで、アクションに特化したチャームは多い。移動速度やHPの増加だけでなく、中には面白い効果を備えるチャームも存在する。是非コンプリートし、その効果の全てを味わい尽くしてほしい。
ただ、手に入れたからといって何でもかんでも装備できるわけではない。『チャームスロット』と言われる装備可能枠には上限があり、その範囲内で最適を求めて選んでいく必要がある。その場面に合った選択をすれば、攻略を上手く進められる。逆に、チャームに頼らず攻略していく(俗に言う「縛りプレイ」)という楽しみ方もある。
主線であるメインストーリーを進めつつ、その一方でチャーム収集も楽しんでみてはいかがだろうか。
多くのユーザーが楽しめるよう難易度設定はしっかりと考えられている。序盤では、敵があまり強くなかったり、ステージがシンプルだったりと、初心者もプレイしやすい内容となっている。
逆に後半は、到底初見クリアを許さない難しいステージがあったり、激しいバトルがあったりと、アクションゲームマニアのチャレンジ欲を満足させるような仕掛けが用意されている。
さらに、美麗な世界観(グラフィック)がプレイヤーをHollow Knightの世界へと引き込んでいく。手描きスタイルで描かれているアリの巣型のマップを見ると、エリア毎に全く異なる世界が展開されていて、見ているだけでワクワクする。この世界観にマッチしたBGMや効果音による演出のおかげで、空気感だけでなく温度さえ感じられそうだ。
登場するキャラクターは、どれも個性的。友好的なキャラクターやボスキャラクターといった鍵になる存在だけでなく、通常の敵キャラクターのデザインも工夫されていて、とても楽しめた。
キャラクターの表情が豊かでない点も決してマイナスではなく、かえって想像する楽しさがある。キャラクターが話す声や字幕にも個性があり、物語を進めていく上で、それぞれのキャラクターにもストーリーがあると感じられる。キャラクターたちとの出会いや会話を経て、「どのように感じ、何を求めているのか?」などを考えさせられる作品だ。
普段この手のゲームが好きなユーザーだけでなく、3Dアクションゲームをメインにプレイしているユーザーにも是非オススメしたい作品である。いまどきよくある三次元の立体的な操作ではないが、2Dで操作するゲームだからこそ、新たな新鮮さや楽しさを生み出しているからだ。
さらに、”着脱できる”チャームというアイデアは素晴らしい。ストーリーを進めていけば当然敵は強くなるので、自ずとユーザーも強力な装備を選びたくなる。少しでも対等に戦いたいと思うのは、ユーザー目線でいえば当然だろう。しかしこのゲームでは、あえてユーザー側にそれ以外の選択肢を用意している。自分のスキルに自信がなければ最適を、逆に自信があるならば誰もが選ばないような組み合わせで挑戦するのも一興だ。
情緒溢れる絵柄にBGMや効果音が加わり、主人公とユーザーとのシンクロ率が高まる。ヘッドホンを着用すれば、より一層Hollow Knightの世界に浸れるだろう。あなたも主人公と共に、虫たちの王国を冒険してみてはどうだろうか?