『DeadCore』は空中に点在する足場を渡りゴールを目指す、一人称視点のアクションゲーム。
道中では、ジャンプ台をはじめとする様々なギミックを駆使し、ステージを進んでいく。
このギミックを作動させるのは、右手に見える銃だ。
スイッチに撃ち込むことで、オンオフを切り替えることができる。
これに加え、二段までできるジャンプ、ゲージ消費式のダッシュという2つのアクションを使いステージを攻略していくことになる。
自機のジャンプは大きく滞空時間が長い反面、ダッシュは一瞬ということもあり、ゲームスピードの緩急は激しい。
ストーリ-やパズル要素は無く、プレイヤーのアクションゲーム能力だけを求める、非常にわかりやすいゲームとなっている。
攻略するステージはゴールが上にあるということもあり、落下=死 となるルール。
他にも、触れてはいけないオブジェクトや進行を邪魔する敵も存在するため、慣れないうちは
簡単に死んでしまうことだろう。
しかし本作には、残機やライフ、制限時間といった概念が無い。
そのためいくらミスを重ねようと失うものは無く、危険に対するリスクはせいぜい直近のチェックポイントまで戻されるということぐらいだ。
加え、死亡演出は一瞬。リスポーンもロード無し、リスタートすら数秒と、ほとんど待たされることが無いため、苛立ちを募らせる暇すらない。
チェックポイントも頻繁に設置してあるため、難しい場面でも諦めることなく挑戦し続けることができる。
アクション要素の高さ、難易度に反し、腕に自信が無くとも気軽に楽しめる。
さて、ここまでのSSを見ていただければおわかりだろうが、本作の幾何学的な世界はとても美しい。
人工物らしさのまるで無い近未来的で奇妙な造形物には、惹かれる人も多いのではないかと思う。
この景色を楽しみながら跳びまわるのは、大変気持ちがいい。
独特の疾走感と、それを中和するかのような、ふわふわとした滞空時間の長いジャンプ。
やたらガコガコ鳴りながら起動するギミックは、起動するのが楽しみになるほど。
跳んでいる間も周りを見渡す余裕があるため、次の足場を検討しながら、上や下を鑑賞して楽しむこともできる。
そんなステージの道中には、頻繁に分かれ道がある。
分かれた先はどちらも同じゴールにたどり着けるためハズレは無いものの、片方に行ってみたから戻ってもう片方を探索、ということはできない。
これはチェックポイントを踏むと落下死判定の領域がせり上がり、一方通行ができあがってしまうからだ。
よって別の道を探索してみるためにはもう一度ステージの最初からプレイすることになるわけだが、分かれ道の分岐は一つ二つ程度ではない。
やり直すたびに(ここはあそこと繋がっているのか、こっちにも行けるのか)という発見が見つかるほど細かく分岐しているのだ。
そして、分かれ道が多いということは、その分だけ攻略方法が存在するということでもある。
どのルートをどう進めばどこへ繋がるか、探検し模索する楽しさをどのステージでも見出すことができる。
この分かれ道だが、単純に分岐路という意味だけではない。
二段ジャンプやダッシュなどを最大限に使えば、その機動力の高さから、届く範囲の全てがコースになりうるのだ。
ギミックを一つや二つ飛ばすなんて当たり前で、霞みがかる遠い足場にまで飛んでいくことができてしまう。
どこまで行けるかという可能性を調べるごとに、かつて走った道がありえないほど回り道であることに気づく時もあるだろう。
そうしてステージの開拓を進めるにつれ、いつしか「こうすればもっと早く行けるかもしれない」という世界が見え、新しい分かれ道ができている。
この自由度の高いステージ攻略性が、やり込めるだけの土壌となり、本作のリプレイ性を高めている。
なお本作には、はずすことのできない重要な要素として "タイムアタック(TA)" がある。
各ステージではタイムが記録され、世界中のプレイヤーと競うことが可能だ。
とはいえゴーストのような機能は存在しないし、普通にプレイするならタイムはおまけ程度だろう。
もちろんTAに興味が無くとも本作は楽しめる。ただやはり、やりこんだ先にあるものはTAになるはずだ。
何度もプレイし、ステージの全体図が理解できてくると「このルートが一番安定して速く行けるだろう」という見方になっていき、動きは大きく変わっていく。
次第に、その度重なる試行錯誤の答えはタイムへ現れ始める。
このプレイスタイルは、TAそのものだ。
攻略の自由度が高い本作では、TAという地味な個人競技が、他の攻略方を模索するための一因になっているのである。
『DeadCore』という世界は、何者にも縛られず黙々と堪能できる完全に閉じた世界だ。
不可思議な景色の中、風を切って走り跳ぶ快感は自分だけのもの。
それでもいつしか、先を行く見えない誰かの影がちらついて、気になることがあるかもしれない。
そんな時、記されたクリアタイムを手がかりに影を見上げてみれば、見慣れたステージにたくさんの可能性が生まれていく。
さて、あなたはどんなルートを走るだろうか。ぜひとも、ランキングに名を刻み、答えを見せてほしい。