いきなりで恐縮だが、次の画像を見てほしい。
今回はこういった工場が稼働する様にグッと来たり、ワクワクしたり、ロマンを感じたりする人にオススメのゲームを紹介しよう。タイトルは『Infinifactory』だ。
「宇宙人に誘拐された主人公が、彼らの指示にしたがって工場のラインを設計する」という突飛なストーリーの本作は、ステージクリア型のパズルゲーム。各ステージで指定のブツを作るラインを完成させ、規定数のブツを納品できればクリアとなる。ユニークなのはひとつのパズルに対してさまざまな解き方があり、文字通りプレイヤーの数だけ解法があるという点である。
『Infinifactory』のステージは『Minecraft』でお馴染みのボクセルで構成されたスタイル。材料もブロックだし、プレイヤーが設置するベルトコンベアやドリルなどもブロックだ。ステージ上には材料を出す機械と完成品を納品する機械とがあるので、材料を運搬・加工してブツを納品する生産ラインを作っていこう。画面は一人称視点で、マウス右ボタンでブロックの設置、マウス左ボタンで設置したブロックの削除ができる。ブロックの種類の切り替えは数字キーかマウスホイールだ。
ラインが完成したらRキーでラインを稼働させよう。あとは悦に入りながらブツが完成、納品されていくさまを堪能すればよい。Fキー押下で早送りも可能だ。エラーのアラートが鳴ってるって? それは納品物を間違えたサイン。ラインを組み直して再チャレンジあるのみ!
本作ではステージ上を動きまわってブロックを設置する必要があるが、人間を操作しているというよりもカメラのついたドローンを操作している感覚に近い。このため、「あそこにブロックを置きたいのにそこまでの移動が面倒」というようなストレスは大幅に軽減されている。アンドゥ(Ctrlキー+Zキー)やリドゥ(Ctrlキー+Yキー)、複数ブロックの連続設置・削除(ドラッグ)もあり、操作は快適だ。
また、ステージ上であればどこにブロックを置いてもいいし、ブツの納品にどんなに時間がかかってもいい(宇宙人は意外と寛大なようだ)。
このように『Infinifactory』には制限らしいものがあまりない。その代わりにステージの広さがなかなか巧みで、狭いというほどではないものの、範囲内でうまいことラインを稼働させようとするとどうしても工夫が必要となる。例えばどこかのラインだけ処理が遅いとスタックを引き起こしてしまうし、複数のラインが干渉してしまえばあっという間にシッチャカメッチャカになってしまう。
よって本作では、モノを適切に処理するロジックとそれをうまく3D空間に収める空間管理が求められる。だが、その問題を解決する「自分なりの解法」を生み出せたときの快感は何ものにも代えがたい。難しいというより、悩ましいと言ったほうがしっくりくるくらいだ。
なお、本作ではプレイヤースコアを集計している。スコアは
の3項目に分けて集計されており、ほかのプレイヤーたちに比べて自分の解法はどうだったかを知ることができる。「あそこはもっと工夫できそうだ」とリプレイ意欲に還元したり、「自分は天才かもしれない」と自惚れたり、と様々な感情が呼び起こされる今風のユニークなシステムだ。また、解法をgifアニメとして出力する機能があるため、それをSNSで共有することも可能となっているのも魅力だ(冒頭の画像はこの機能で作ったもの)。
『Infinifactory』は、ロジック構築の楽しさが詰まった傑作パズルだ。3D空間に考えたロジックを収めるのは決して簡単ではないが、無限に広がる広大な解答から己だけの解法を導き出すことが確かな手応えと十分な満足感につながっている。ライン修正の末に、それが無事稼働する様子を眺めるときなど「至福」というほかないだろう。ゲームの方向性はかなり人を選ぶものだとは思うが、ハマる人はハマるといった趣の本作、興味を持った方はぜひプレイして、無限大に広がる工場建築の楽しみを味わってほしい。