恐縮だが、諸君には赤ちゃんになってもらう。名前はボブだ。
マシュマロのような「ふにゃふにゃボディ」に、ゴリラもビックリな「驚異的な握力」を宿したボブとなって、簡単なパズルを解いてほしいのだ。もちろん知性は今の君のままでいい。ハイハイでは移動もままならないだろうから歩けるようにしておいた。ゲームとしては控えめながら、一応ジャンプも可能だ。
世界観や目的のようなものは気にしなくていい、というのもそういったものは本作にほとんどないんだ。断片をつなぎ合わせた夢のような世界は、実際の夢がそうであるように読み解くのがあまりに難しい。だから奇妙な世界とパズルが用意されていて、君はそこで一心不乱にパズルに集中するってことだけ理解すればOKだ。
ボブの手には凄まじい握力が備わっている。吸着力と言ってもいいかもしれない。適当なものに触れて指先に力を入れてみよう。ものをつかむことができただろう。そのまま力を入れた状態で歩けばそれを引っ張って運べるし、持ち上げて何かの上に乗せることだって可能だ。
ヘリに手をかけて力を入れれば、上によじ登れる。重要なので必ず覚えておこう。
「ものをつかむこと」と「よじ登ること」を覚えたら、あとはひたすらパズルに挑むだけだ。最初のパズルはスイッチを押すだけの簡単なものなので、サル並の扱いに君は憤慨してしまうかもしれない。
しかし、ステージをクリアするたびにパズルはだんだん難しくなり、さらなる創意工夫が求められるようになるので安心してほしい。「簡単すぎる」と知性をヒト以下にして暴れまわるのは、すべてのパズルを終えてからでも遅くはないだろう。
ステージにはさまざまな仕掛けが登場する。押して開ける扉もあれば引いて開ける扉もあり、スイッチで開けるものもある。スイッチはスイッチで、押す、乗せる、レバーを倒すといったもののほか、別のギミックと組み合わせて作動させるものまである。
攻略の鍵を握るのは想像力だ。
「硬いものを強くぶつけたら脆いものは割れるだろう」とか「上からぶら下がったヒモ状のものをつかんで飛び出せばターザンみたいに移動できるだろう」とか、その場にあるものから何ができるか想像する力が試される。シーソーみたいなオブジェクトがあったらおそらく重いものが必要だろうし、鈎状のオブジェクトがあったらきっと何かに引っ掛けるのだろう、といった推測が重要になる。
それでいて『Human: Fall Flat』のパズルの答えは必ずしもひとつではない。物理挙動を活かした複数の解き方が許されており、ゴール地点にさえたどり着きさえすればいかなる解き方もショートカットも許容される。私自身、プレイ後にトレーラーを見て「こんなやり方があったのか」と驚かされたほどだ。ぜひふにゃふにゃになった身体以上に頭を柔らかくして挑んでほしい。