「ハンター4人で協力し、対戦中に進化して強くなるモンスターを追いかけ倒す」という意欲的な対戦形式で話題を呼んだ『Evolve』が、『Evolve Stage 2』へと進化して帰ってきた。今回は第2形態へと歩みを進め、基本プレイ無料となった本作の真価を問う。
なお、記事内容は2016年8月17日段階のものだ。アップデートによって内容が変わることもあるので留意してほしい。
まずは本作がどういったゲームなのか見ていこう。本作は、惑星シーアという架空の惑星を舞台にハンターチームとモンスターの戦いを描いた対戦ゲームだ。対戦ゲームは互いに同じ人数のチームで戦うことが多いが、『Evolve』では冒頭でも述べたように4vs1で対戦を行う。さらに4人で戦うハンター側はFPS、彼らに対峙するモンスターはTPSとしてプレイするようになっており、両者のプレイ感覚が大きく異なるのが特徴だ。
メインモードである「狩猟」の勝利条件は、ハンターの場合は「モンスターの撃破」、モンスターの場合は「ハンター全員の撃破」が基本となる。ただし、狩猟は「せーの」で両者が激突するモードではない。対戦開始時、モンスターは能力的に劣勢にあり、広大なマップを逃げ隠れしつつ、野生生物を捕食して力を蓄える必要があるのだ。一方のハンターたちはいち早くモンスターを追いつめなければならない。なぜならモンスターはタイトルにもなっている「Evolve(進化)」によって強化されてしまうからだ。
モンスターはマップ上の野生生物を捕食すると進化ゲージが貯まり、ゲージがいっぱいになると進化できるようになる。進化は2段階あり、1段階上昇のステージ2でハンターと同等、2段階上昇のステージ3でハンターを上回る力を得られるような方向を目指してデザインされている。これにより開幕は攻勢をかけていたハンターたちが、終盤は防衛戦をするような展開になり、対戦中に両チームの優劣が変化していく。防衛戦というのはモンスターの勝利条件に「発電施設の破壊」というものがあるためで、ステージ3になったモンスターはこれを満たしても勝利できる。たとえモンスターが圧倒的な力を得ようとも、ハンターが逃げ回り続けることは不可能という意味だ。歯を食いしばって発電施設を守る最終決戦に挑まなければならない。
「進化」という武器を持つモンスターに対し、ハンターには進化はもちろん、レベルアップもない。たった1人で挑めば瞬く間にダウンさせられてしまうだろう。そこでハンターの武器となるのが「連携」や「協力」だ。そのためには以下の4つのクラスを理解する必要があるだろう。
各クラスは1チーム1名ずつと決まっており、アサルト4人のような構成はできない。また、各クラスには複数のキャラクターが存在し、クラスという方向性はあれど、各自異なった装備・能力を持っているので、キャラクター選びやそれぞれの能力の理解も重要になる。
これが『Evolve』、そして生まれ変わった『Evolve Stage 2』に共通する内容だ。続いて『Evolve Stage 2』で変わった部分に目を向けよう。
挙げればキリのないほど大小さまざまな違いがあるが、端的に言えば前身である『Evolve』に比べて『Evolve Stage 2』は戦闘重視になった。
最たるものはモバイルアリーナ(ドームとも呼ぶ)の仕様変更だ。これは展開することでモンスターを一定時間閉じ込めておけるドーム型の檻のようなもので、『Evolve Stage 2』ではハンターであれば誰でもモバイルアリーナを展開できる。モンスターは機動力でハンターに勝るため、まずはこれで捕まえないとダメージもろくに与えられないのだ。しかし、かつての『Evolve』においてモバイルアリーナはトラッパー専用装備で、展開はトラッパーしかできないうえ、トラッパーのヘルスが0になってダウンすると即座に展開が解除されるようになっていた。結果、『Evolve』では今と比べて、とにかくトラッパーの責任が重いゲームだった。『Evolve Stage 2』ではこの重責を大幅に軽減、さらに戦闘が発生しやすい方向へと転換した。
もちろん『Evolve』をプレイしていた身としては「トラッパーさえダウンさせられれば」というモンスターのチャンスがなくなってしまったように感じるし、1人では非力なはずのハンターが単独行動でモバイルアリーナを展開するリスクも生まれてしまったように思う(もっとも、これはゲームに慣れていない場合にのみ生じる)。しかし、総合的に見れば、トラッパーの責任を軽くしたことで間口が広くなったとみなすことができるだろう。
また、トラッパーはモバイルアリーナに代わって、プラネットスキャナーという装備を手に入れた。これはマップ上をスキャンし、モンスターのいる場所を一時的にハンター全員のコンパス上に表示するというもので、副次効果として自身の移動速度を上げることができる。このプラネットスキャナーも『Evolve Stage 2』を戦闘重視へと方向づけたもののひとつだ。
ほかにもいくつか違いはあるのだが、対戦時間が大幅に短縮されたことは見逃せない点だろう。モンスターによる長期の潜伏や逃走を難しくした結果、それらの要素が薄まってスリム化したと言えよう。これに関しては個人的には好印象だ。
駆け足で『Evolve Stage 2』について見てきたが、最後に今後の課題について触れておこう。
冒頭で述べたように『Evolve Stage 2』は、基本プレイ無料という方式を採用している。キャラクターやスキンのアンロック、キャラクターを強化・カスタマイズ可能なパークのアンロックも、ゲーム内マネー「シルバーキー」を使って行う。だが、本作がまだベータ段階であるためか、実際にお金を払ってシルバーキーを入手することはまだ不可能で、ログイン報酬やプレイに応じて得られるゲーム内マネーを貯めなければならない。手っ取り早くお金で済ませたいプレイヤーには歯がゆいところだろう。
基本プレイ無料になって新規プレイヤーが参入しやすくなった一方、チュートリアルをはじめとするゲーム内の説明があまりに少ないのは大きな問題だ。「覚えるべきことが多い」というのは対戦ゲームの常ではあるが、プレイヤー自身がネット上で探すなり、ほかのプレイヤーに訊くなりしないと、基本的な部分でさえもわからないというのが現状であり、各クラスごとのチュートリアルが実装されて緩和はしたものの、やはりプレイヤー定着の妨げとなっていると思われる。
また、クラス指定でのマッチングができず、特定のクラス(あるいはキャラクター)でプレイしたい、という極めて自然な欲求にすら応えられていないのは非常に残念でならない。さらにチートと呼ばれるような不正行為をするプレイヤーがいることもプレイヤー離れに拍車をかけているのは間違いないだろう。
実は『Evolve Stage 2』は毎週精力的にアップデートを行っており、各種改善はもちろんのこと、コンテンツの拡充も図られている。課題は決して少なくないが、ユニークな対戦ゲームだった『Evolve』の持ち味を残しつつも、間口を広げて蘇った『Evolve Stage 2』には今後さらなる進化(Evolve)を期待したい。