弾がなければレンチで殴ればいいじゃない『Nuclear Throne』

ゲームタイトルNuclear Throne
    開発元Vlambeer
パブリッシャーVlambeer
     定価:1,180円

筆者:GREENER
Steam プロフィール

今回ご紹介するのは、本稿の作製にえらくてこずったゲームである。理由は単純。ちょいとスクショ撮影でもするかと起動すると、ついそのまま遊んじゃうからだ。必要になりそうな素材を先に用意しておくタイプの筆者は一向に作業が始められない。とりあえず書き始めた今も、正直もうちょっといい画が撮れるかもしれないと自分に言い訳して遊びたい。そうも言ってられない(※)ので説明に入ることにする。

Nuclear Throne
キャラが5人しか居なかったWasteland Kings。

さて、2013年2月にMOJAM2というイベントが催された。MinecraftのMojangとHumbleが主体となり、78時間をかけて一からゲームを作り上げる様を動画配信しつつ、その成果物を販売して売上をチャリティに回すといった趣旨のものだった。そこで発表されたWasteland Kingsが本作の前身だ。それからコツコツとコンテンツの拡充やバランス調整に勤しみ、「定価でも構わずに買ってくれる熱心なユーザーの意見が聞きたいんだ」と頑なにセールを拒み続けた早期アクセスを抜け、2015年12月にようやく発売と相成ったのがこのNuclear Throneである。

Nuclear Throne
Nuclear Throne
Wasteland Kings(左)とNuclear Throne(右)。ステージごとに武器箱、弾薬箱、緑のRad容器がある。

出自が出自なので本作はシステム的には極限までシンプルだ。見下ろし画面のアクションで、WASDで歩いて左クリックで攻撃に右クリックでキャラごとのアクティブスキルの発動。二つまで持てる武器はEで拾ってSpaceで切り替え。操作はたったこれだけ。それでいてSpelunkyやRisk of Rain同様にローグライクの無限にも近しいリプレイ性を取り入れており、ステージや獲得できる武器・能力をランダムにすることでやってもやっても遊び尽くせない果てなきチャレンジを提供してくれている。

Nuclear Throne
Nuclear Throne
Wasteland Kings(左)とNuclear Throne(右)。新たに得られる能力はランダムで提示される4つの中から選ぶ。

時間さえかければステータスが育つということはなく、毎回レベルはリセットされるしレベルアップでライフの最大値が増えたり攻撃力が上がったりという底上げもない。敵を全滅させるとポータルが開き、経験値に当たるRadを充分集めていれば次のステージへ行く前に新たなパッシブスキルを一つだけ獲得できる。持ち越せる要素は新キャラやスキンのアンロック、何らかのマイナス効果を持った縛りプレイ用のお供、それに最低ランクの武器のみだ。

基本的にはこれだけの内容で、わずか7ステージを踏破しラスボスを倒すまでのプレイ時間は精々15分。スピードランならその1/3というような短いゲームである。なのに驚くほど中毒性が高い。筆者はすでに130時間以上をプレイしているが、未だにやり切った気がしない。なぜって、難しいのだ。

本作の攻略を困難たらしめている最大の原因、それが残弾の概念である。プレイヤーは連射系の武器に使うBullets、散弾銃用のShells、クロスボウに使うBolts、爆発物に使うExplosives、そしてレーザー類に使うEnergyの五種類の弾を持つことができ、それぞれに上限が設定されている。この数値が絶妙にいやらしい。

連射系だけは255発までだが、それ以外は全て通常55発しか持てない。しかも強力な武器は一度に2発や3発消費するものもあり、物によっては満タンで2回しか攻撃できない。いい武器を拾えたからといって、適当に弾をバラ撒いていてはすぐに息切れを起こす。もし弾がなくなったらどうなるか? 答えは詰みである。敵は全て倒さなければ次のステージには進めない。なのに弾が有限なのだ。

もし無制限に弾が撃てたらこんなに面白いとは感じなかっただろう。無駄遣い出来ないからこそ慎重に狙わざるを得ず、必然的にその間はきちんと回避をしなくてはならない。狙って、撃って、避ける。ただそれだけの内容が面白いのだから、ゲームというのは不思議なものだ。

Nuclear Throne

さらに言うとキャラもおかしい。最初から使えるのは二人。半魚人のような見た目のFishさんは、通常より多くの弾薬を獲得できるというパッシブスキルを持っている。あまり残弾のことは気にせず、まずバンバン撃って敵を倒すことを覚えて欲しいというスタッフの親心が見え隠れする。

カットイン演出を伴ってボス登場!

魅惑の尻を持つCrystalさん(女性)はライフ最大値が通常8のところ最初から10もあり、またアクティブスキルは短時間ながら敵弾を反射する超強力な攻防一体の能力持ちだ。とっさに右クリックが押せるようになると格段に生存率が上がることをプレイヤーに学習させてくれる。ここまでは文句のつけようがない。

でもタイミングよく反射すれば棒立ちでも倒せます。

それに続いて恐らく真っ先に解放されるであろう三人目がMeltingさんだが、彼はライフが2しかない。もう一度いう。彼はライフの最大値が2しかない。最も一般的な敵弾のダメージは3だが、ライフは全快でも2しかない。どうかしてるとしか思えないが、彼はWasteland Kingsの頃からずっとこうなのである。つまりこれはそういうゲームなのだ。

ちなみにMeltingさんのBスキン(通常のものがA)の解放条件は「最大HP増加」と「一度だけ死んでも復活できる」スキルを取らずにラスボス撃破。つまり一度に2以上のダメージを受けたら即失敗となっているので、歯応えのあるアクションに餓えている諸兄にもきっとご満足頂けるはずだ。

Nuclear Throne
画像はFishさんだが、この赤弾が全部ダメージ3でこのライフでは即死攻撃だ。

1プレイが短いこともあり、つい風呂に入る前に1ゲーム、寝る前にもう1ゲームと始めてしまい、そのほとんどが志半ばで力尽きるせいで気づけば4回5回とプレイを重ねてしまっている。初回起動から初めてラスボスを撃破するまでには30時間もかかっただろうか。その10倍を費やしても、このゲームを遊び尽くせるかどうかはわからない。

Nuclear Throne
隠しエリアの下水には何故かピザがいっぱい落ちてて亀が四匹にネズミが一匹しか居ないぞ。

※ 冒頭で「そうも言ってられない」と書いたけど、本当は途中で18回ほど遊びました。

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