DLC:398円 (Live2D Module)
今回ご紹介するのはケモ化・女体化・恐竜化、なりたい自分に変身できる魔法のコンパクトミラー(画面越し限定)である。ゲームではなくソフトウェアカテゴリでの販売であり、人によってはきちんと実用性のあるツールになり得るものだが、筆者自身には特段これといった有効活用の当てもないので単純に弄って楽しいデジタルガジェットとして購入した。
さてどのように使うものか。まずお手元にWebカメラをご用意いただく。実売価格で言えば1,000円前後の、120万画素程度の安物で構わないようだ。それで自分の顔を撮る。するとその面差しや顔の向きを検知して、画面の中では3Dのキャラクタがその通りの表情をしてくれる。突き詰めるとできることはこれだけである。
かつてL.A.Noireというゲームでは嘘を付くときの微妙な演技をさせるため、本職の役者の顔を長時間かけてモーションスキャンしたという。本作はその家庭用の廉価版と言った趣だろうか。ただしFaceRigでは演者からキャラへの変換作業はリアルタイムで行われ、被写体の顔とアバターのそれは常にリンクし続ける。
生成される映像は仮想カメラとして出力でき、skypeのビデオ通話に変身後の姿で映ったり、クロマキー合成用の背景もあるのでゲームのプレイ動画の画面隅にプレイヤー代理として映り込んだりもできる。残念ながらSteamのブロードキャストでは映像のソースを選べずワイプ画面は実現しないが、OBS等を使った配信ならボイスチェンジャー機能と合わせて完全な個人情報の隠匿が可能だ。
どうせ動画を配信するなら声だけでなくプレイヤーのリアクションも映したい、とはいえ何の保険もなしに素顔を晒すのには抵抗がある。さりとてどこぞの芸能人ごっこのように、サングラスやマスクで顔の半分を覆い隠すといった顔を知られたいんだか知られたくないんだか解らない中途半端なこともしたくない。そんなアンビヴァレンツに縛られた切ない乙女心(※1)に覿面に応えてくれるセカンドスキン。それがFaceRigである。
※1 適当に聞き流してもよい
でもなりたい自分って言っても所詮用意されたリストからの選択式でしょとお嘆きのあなた、それは早合点だ。本作はアバターの自作もサポートしている。Collada形式のモデルデータを付属のツールに読み込ませ、各種表情のパラメータを設定してやればFaceRig用のデータとして吐き出せる……らしい。
とはいえ3Dは流石にハードルが高い。筆者も簡単なモデリングとテクスチャ描きくらいはするが、あまりややこしい形状だとポリパテを盛り削りする方が楽だなとか思ってしまうし、法線マップだボーンモーフ(※2)だとなると荷が勝ちすぎている。
※2 3Dモデリングにおける小難しい技術。なんだかよくわからないということだけわかればよい。
そこで輝くのがLive 2D Module DLCだ。Live 2Dというのはイラストをモーフィングさせて表情を変えたり髪をはためかせたり、構図を大きく変えない範囲で一枚の絵から簡単なアニメを生み出す技術だ。
例えばスカートがめくれたときにだけ見えるパンツのように普段は前景に隠れている部分を予め描いておく必要があり、完全な一枚絵ではなくパーツ毎にレイヤ分けした素材を用意しなくてはならないが、その分設定できる動きに融通が効く。
DLCがあればそのデータをFacerigにインポートし、このように2Dアバターを自作もできてしまうのだ。Live 2Dの方は日本語の解説も数多く見つかるし必要な作業量も少ない。もはやWorkshopは2D一色といった様相である。
仮想の自分であればこれこの通り、可愛らしく子供ちんちんを放り出してたって問題ない。Holotech Studiosから賛同を得られるとは限らないので敢えてSteamのほうで一般公開はしないが、少なくとも日本国内において家畜の交尾が猥褻物として扱われる慣習は存在しないしどう考えても問題はないのである。デジカさんはシャレの解る企業なので週刊steamではこういうのも掲載できるのだ。……担当さんに原稿を見せる前に先回りして言い切っておくのがコツだ。(※3)
※3 次回より早めにご相談ください! by担当K
後はこんな感じに自分で配信に使うなりWorkshopに公開するなり、利用方法はお好み次第だ。ところで今更気づいたが、冒頭でなりたい自分になれるなんてブチ上げておいて、結果なったものがちんちん丸出しの豚ってどういうことだ。お前の変身願望はどうなっているんだ。お前っていうか、俺だ。
これが筆者の希望通りではないとすると、自分の主張に自分で反証を挙げる形になるので、多分これが望んだ形のはずである。
……図らずも筆者の歪んだ性癖が暴露されつつある点を除けば、本作はツールとしても優秀なソフトウェアだ。既にWebカメラを持っているないしこれを機に購入するのも吝かでないというのであれば、単に玩具として、話の種として、あるいは特殊性癖を充足させるため、FaceRigという選択肢は大いに「有り」だ。