今回はまだ早期アクセスながら、早くも日本語が追加された期待のCOOP採掘FPS。『Deep Rock Galactic』をご紹介しよう。
オンラインで4人までの協力プレイができて、WASDで歩き左Shiftで走りSpaceでジャンプする。1~4で4つの装備を切り替え、Mを押せばマップ(っぽいもの)が開くしGを押せばグレネードを投げる。基本システムに関してはお馴染みの物を踏襲しており、FPS経験者ならだれでも勘だけでキーを探り当てられるだろう。
変わっていることと言えば、右クリックがエイムではなくツルハシなことだ。
なぜって、プレイヤーはみな宇宙鉱石採掘業社・DRG社に所属する鉱夫ドワーフなのだ。基本給なしの完全出来高制なあたり正社員ではなさそうだが、ドワーフたるもの掘りたい時に即座にツルハシが振れて当然なのだ。片手にツルハシ、心に鉱石、唇には火の酒。金属を掘って酒が飲めれば大満足。それがドワーフだ。
せっかくの採掘要素だが、目的物が毎回同じ位置だったり、いくつかの候補の中からランダムだったりしてはつまらない。そこで本作では舞台となる洞窟をまるごとランダム生成(正確にはプロシージャル生成)することにした。
資源惑星には複数のバイオーム(生成テーマのようなもの)があり、あの地域であれを集めてこい、この地域でこれを掘ってこいと、採集、採掘、殲滅といったタイプ別にいくつもの仕事が発注されている。
仕事とハザードレベル(難易度)を選んで降下艇に乗り込めば、惑星に打ち込まれた艇は底部に備えた巨大ドリルでゴリゴリと地面を掘り進み、ハッチが開くと外はもう洞窟内だ。壁でも床でも目に見える地形はまるごと全部が掘削可能。襲い来る現住生物の妨害を跳ね除けて、好きなだけ掘って掘って掘りまくれる。
基本である採掘仕事の場合M.U.L.E.という4脚ロボがついてくる。これは納品BOXも兼ねているので、こまめに手持ちを流し込む。ノルマに達したら離脱用ロケットを呼ぶボタンが生えてくるので、押せばめでたく脱出フェイズだ。
離脱用ロケットも底部の巨大ドリルでどこか手頃な空洞めがけて掘り落ちてくるのだが、5分間だけ待つと自動で発射してしまう。自分が貯えた鉱石さえ無事ならそれでよしとばかりに一人で帰りだすM.U.L.E.を追いかけて、時間内に脱出艇に乗り込めればミッションクリア、という流れだ。
さて、実際遊んでみてだが、これがよくできている。協力ゲーで興醒めする瞬間として、「上手い人がすべて1人でやってしまった」が挙げられるが、本作には自然とお互い協力するよう促すギミックがいくつもあるのだ。
まずは灯りだ。ドワーフ達のヘッドライトは頼りない。そこでFキーで使い捨て光源であるフレアを撒きながら移動するのだが、足りないのである。明るさはともかく、地面に転がすのでさほど広い範囲は照らせないし、こちらの動きにも追従せず、たったの25秒間しか光らない。欲を言えば3秒に1個くらいは投げたい性能だ。ところが最大所持数は3個だし、1個補充されるのに12秒もかかる。時間経過で無限に補充されるとはいえ、1人では到底まかない切れない。
次に移動だ。各ドワーフの3番キーは移動補助ツールになっている。スカウトの物だけは本人専用だが、基本的には誰かがツールを使えば他人もそれに相乗りできる。しかも、それぞれ得意な場面が違うのだ。
スカウトは無限に使えるいわゆるフックショット様のツールで、撃ち込んだ場所に向けて本人がすっ飛んでいく。近寄ってEキーで一瞬で回収できる物、たとえば絶壁に咲く花などは、スカウトに任せれば足場を用意するまでもない。また、地形に照明を撃ち込んで固定し高所から照らす、あるいは高所を照らすことができるのもスカウトの特権だ。
ガンナーは所持数こそ少ないがジップラインを設置できる。仰角俯角ともに30度強までと傾斜角に制限はあるが、撃ち込める壁さえあれば下るだけでなく登ることもできる。また降りる操作をしない限りは宙吊りのままでいられて、そのまま戦闘も採掘も可能だ。
エンジニアは着弾点に円盤状の足場を産むツールだ。比較的数が出せるので、壁沿いになら横方向へも移動できるし、ワンクッション置けば深い縦穴での落下ダメージも怖くない。地形を削る引き算ではなく、足し算ができるのが強みだ。
ドリラーはもちろん両手ドリルだ。ツルハシはあくまで採掘用なので、通路を掘るのには向いていない。ドリルならスムーズに通れるトンネルを素早く掘削でき、斜めに掘れば段差も超えるし、壁をぶち抜いて隣の空洞にも繋げられる。
ちなみに高所に鉱石がある場合は、どうせその場限りなのでツルハシで不格好なスロープを掘ればいい。採掘作業はどのドワーフでもこなせるのだ。
そしてそう、採掘だ。装備のアップグレードには現金と特定の金属材料を要求される。これはミッション中に見つけて持ち帰るしかないのだが、ソロでやって10個見つければ手に入るのはもちろん10個だ。ところが4人がかりで40個見つけた場合、4人全員が40個ずつ貰えるのである。
実際にはさらに難易度ボーナスで+50%やら+70%やらされて、気付けば60個以上を獲得している。三方一両損(※)どころの騒ぎではない。大岡越前もびっくりだ。
※ 3両の金を互いに相手の物だと譲りあっていたら、お奉行様がポケットマネーで1両足してくれて2両ずつ貰う話。
最後に現金収入だ。会社に指示された仕事をこなして得られる対価なんて、内訳で言えば3割がいいとこなのである。4人分の生存ボーナスと、何よりも通常業務と並行して行う内職、希少金属採掘による副収入。これが美味しい。4人でやれば収穫も4倍なのに、ここでも4等分しているとは思えない配当が貰えてしまう。
そうした理由から普段は野良(初対面の相手との即席チーム)で遊ぶことのない筆者が、なんだかんだで公開サーバーに出入りして遊び、ちまちま装備を強化してはほくそ笑んでいる。
今後どういった方向に進化していくのかはわからないが、今の所これといってクリアという概念のないゲームである。いつまでもインストールしたままにしておいて、新しくフレンドになった人もこのゲームを持っていると知れたら「それじゃあ一度ご一緒しましょうか」と思い出したように遊びたい。
「Left 4 Dead」が戦闘と脱出、「PAYDAY」が戦闘と泥棒だとすれば、戦闘と採掘の二本柱で立っているのが本作だと言えよう。末永く遊べる定番のCOOPゲーとして、有名作品と肩を並べられそうなポテンシャルを感じた。