四球ぐらいに入魂!『Bocce Revolution』

ゲームタイトル:
開発元:
パブリッシャー:
定価:
1,480円
GREENER 筆者:GREENER Steam プロフィール

今回ご紹介するのはBocce(ボッチェ)が遊べるスポーツシムである。幼い頃には誰しもいつもの遊び場の占有権を巡って横暴な年上とBocce勝負をしたり、Bocceを通じて世界征服を企む悪の組織が育てた卑劣な闇ボッチャー(※1)との真剣バトルに挑んだ経験があるだろう。あの時はもうダメかと思った。
※1 恐らくBocce競技者のことだと思われる。

Bocce Revolution 掲載誌が次々と廃刊になり、雑誌キラーの異名を取るBocceマンガ「Bocce! 球男」

そんな超メジャースポーツBocceだが、念のために説明するとヨーロッパを中心に愛好されている球技だ。その起源ははるかローマ帝国にまで遡り、イギリスのローンボウルズ(※2)、フランスのペタンク(※3)とも密接な関係を持つスポールブール家族(※4)の一員と言われている。筆者も自家用馬が冬眠(※5)してしまいポロができない冬場によくやった覚えがある。
※2 Bocceに似た競技。ボールが真球ではない。
※3 Bocceに似た競技。ボールが金属性になった。
※4 Bocceに似た競技たち。どれかいっこでよくない?
※5 普通しない。

ちなみにスポールブールとはSport Boulesと綴るフランス語で、英語ならSport Ballsだ。さらに言うとBocceはイタリア語で、英訳するとBallsになる。運動用の球くらいの意味にしか取れない。蹴球とか撞球みたいに球をどうするのかに言及して欲しい。切実に。

そんなぐぐる先生頼りの筆者をあざ笑うかのように実態の掴めないスポーツBocceだが、……あ、いや違った、精神的ハイソサエティ(※6)な筆者としては紳士の嗜み(※7)として当然Bocceも知悉しているわけだが、改めて他人に説明するための復習をしたところ基本的には下記の通りである。
※6 つまり由緒正しいド平民である。
※7 他にも「小石をドリブルしながら帰宅する」「ちんちんを股に挟んで女の子と言い張る」などが紳士の嗜みであるとされる。


まず小振りのみかん程度の球を1個、グレープフルーツ程の球を2色4個ずつ用意する。それに2~8人の人間を集めて2チームに別ければ準備は完了だ。場所は砂浜でも氷上でも指定はない。

最初に先攻の一人が小さい方の球、Pallinoと呼ばれるものを放る。続いて同じ人間がその近くで止まるように大きい方を投げる。掌を上に向けるのと下に向けるのがあるが、腕の振り自体はすべてアンダースローだ。ボールは転がしても飛ばしても弾ませてもいい。以降は2チームが交互に投球し、相手チームの球より自分たちのそれがより多くPallinoの近くに留まるように争う。

Pallinoに最も近いボールが属するチームをIn、そうでない方をOutと呼ぶ。

ぶつけることで敵味方の球はもちろんPallinoすら動かして構わない。ボールが尽きたらラウンド終了。最もPallino寄りの敵球よりもさらに内側にあるボールの個数分だけ得点が入る。これを繰り返し、先に規定の点数に達したチームの勝利だ。

Bocce Revolution ノギスを持った審判が待機している

公式試合には種々細則もあるが大筋はこんなものである。古いスポーツだからかルールのブレが多く、規定点なんて軽く調べただけでも11点、12点、13点、15点、16点、21点とする記述が見つかった。さらにはそも得点を数えず、Outのチームが投げ続けてInの座を奪えずボールが尽きたら負けとする短縮ルールもあるようだ。

Bocce Revolution 投球は先に位置と角度、目標の球を決めて、最後にタイミングよくクリックで強さを決める方式

カーリングに通ずる部分を感じるが、氷上でなくてもよいのだから遥かにカジュアルである。なにかこう源流を見たような気分だ。

ということでそもBocceとはなんぞやについて熱弁を振るってきたわけだが、ストアによれば本作で遊べるゲームはBocceではなくRaffa(ラファ)なのだそうだ。Bocceには三種の投球動作がありそれぞれをPunt、Raffa、Voloと呼ぶらしいが、ここでいうRaffaはアマチュア向けに簡易にした個人戦ルールのことのようだ。嫌がらせのようにややこしい。

Out側が連投+12点先取のハイブリッドなルールに加えて多少の例外処理はあるものの、基本的にはここまでに紹介したルールで遊べる範囲である。

Bocce Revolution
Bocce Revolution
ぐえー 容赦ねえ

残念ながらCPUが強すぎてBOT戦ではその面白さはさっぱり体感できなかったが、それだけを理由に駄作とは断じられない。対人戦でこそ真価を発揮するのかもしれない。

ところが本作にはローカル対戦はあってもオンライン対戦はないのである。ついでに言えば、ゲージ消費技のようなゲームならではのトンデモ要素もない。それならばあり合わせのボールを持ってそこらの公園にくり出した方が、「現実」という名の遥かに優秀な物理エンジン環境で遊べるのでは、と思わずにはいられない。

もちろんゲームならではのメリットもある。準備は不要だし身体能力に大差があっても対戦が成り立つ。ということは、だ。

仕事を終えて家に帰ると愛娘が眠い目をこすりながら舌っ足らずに「ぱぱ、ぼちえしよー」と誘ってくる。けれどすっかり陽も暮れ娘は風呂上がりで歯磨きも終えた寝間着姿。今から出掛けようとは言いづらい。そんな時に気軽にBocceができるゲームさえあれば……というニーズにならバッチリ応えられる。

イタリアではどうか知らないが、清々しいくらいのニッチ商売だ。ここまでくるとそんなものが流通にのっている事実そのものが面白い。大体その親父は娘に何を仕込んでいるんだ。将来の夢はプロBocce選手か。あるのかプロリーグが。トルティーヤ日暮里とサルサ西日暮里がマイナーリーグ落ちをかけて激突するのか。本拠地が近ぇ! んでイタリア関係無ぇ!

そんな訳でいたずらに供給があるということを喧伝してうっかり需要とのマッチングに成功したら面白いなと筆を執ったわけだが、こんなものを読まされてどうすればいいのかわからない読者諸氏もいるだろう。そんなときは筆者と同じことをすればいいのである。つまり、話の種だ。

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