ちょっと想像してみてほしい。今までプレイしてきたゲームの中で最も凶悪なキャラクターは誰だったのか。もし「クッパ」を思い浮かべた人が、これから紹介するゲームをプレイすることになったら、心臓マヒを起こしてしまうかもしれない。このゲームの中では、人々を脅かすことや盗みを働くことくらいは、ごく当たり前なことである。道を歩いている途中、突然喧嘩になっただけで首を切られたり、ゲームの序盤から氏族をも滅ぼしそうな悪役が登場する。この悪役が主人公で、つまりゲームプレイヤーが今から一緒に冒険していくキャラクターである。
そう。このゲームは勧善懲悪を扱うゲームでも、きらびやかな鎧を着た伝説の勇士や美しいエルフが魔法を叫ぶファンタジーゲームでもない。今回紹介する「ブラックガード」は、まさに悪の権化だといっても良いほどの悪いやつらが少しでも長く生きようと悪あがきする物語である。
●深くて暗いダークファンタジー
このゲームはヨーロッパで大評判だったテーブルトークRPG(ペン&ペーパーRPG) 「ザ・ダークアイ」の世界観をもとに開発された。おそらく「ザ・ダークアイ」を基盤としたシナリオの中でも、最も暗くて残酷なシナリオだろう。実際のゲーム内容はシナリオと同じくらいに残酷なストーリーである。北米のゲームマニアでも首を傾げるような類を見ないインターフェースに、膨大なシナリオ、また「ダークソウル」そっちのけの極悪難易度がプレイヤーを待っている。開発者はまるで楽しんでるように、ゲーム上でゲーマーをいじめる。相手となるNPCは驚くほどのAIで、ゲーマーをしつこく困らせる。これに対してプレイヤーはあらゆる要素に悩みながら、敵と戦わなければならない。スキル一つ、ポーション一つ、さらに動く方法一つさえも慎重に考えながら戦闘をしてこそ、エンディングが見られるゲームである。
●真の戦略型RPG
「ブラックガード」は、海外の正統派RPGに近い。総プレイタイムは30時間程度。ここに様々な要素が混ざりあい、このゲーム自体を一言で定義するのはそんなに簡単なことではない。あえて既存のゲームに例えると、このゲームは「ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック」の戦闘に、「バルダーズ・ゲート」のようなシナリオ進行とキャラクター成長要素が加わったゲームである。
自由度の高いシナリオを進める中で、ターンベースで戦い、戦闘後に獲得する経験値でキャラクターを成長させつつ、次のシナリオに挑む方式でゲームは進行する。
特にキャラクター成長の場合には、他ゲームに比べて自由度がより高く、既存RPGとは少し違ったキャラクターの特性が存在するため、常に慎重に検討してキャラクターを成長させなければならない。
●批評家には愛されるゲーム
相対的に好き嫌いが分かれるゲーマーの反応とは違って、このゲームはドイツだけで21個を越える賞を受賞した。開発会社であるDaedalic Entertainment社は、2009年と2013年にその年のゲーム開発会社賞を受賞するほどの認知度がある。理由は簡単だ。ゲーマーがこのゲームを難しく感じる反面、一度ゲームにはまったらゲーマーはこのゲームから抜け出せない魔力を感じる。また、ゲームを分析してプレイするのが仕事である専門家たちにとってこのゲームこそ、今年のゲームにふさわしい作品という説明が付いてくる。
「ダークソウル」が初めて登場した時、最初はゲーマーから酷評を受けたが、徐々にその威力を発揮して人気作品になったのと同様に、この作品も最初には酷評を受けたが、その後ゲーマーからの評価はよくなっている。最初の部分のその独特な雰囲気'だけ乗り超えられれば、そこからは素敵なゲームを楽しめるという意味でもある。
●ターンベースの戦略的RPG
このゲームの最も大きい特徴は戦略性である。ある特定数値に達して攻撃をすれば勝つという戦略性ではなく、実際に、AI相手に頭が痛くなるくらい脳みそをふり絞って戦わなければならないのだ。
「ダークソウル」が初めて登場した時、最初はゲーマーから酷評を受けたが、徐々にその威力を発揮して人気作品になったのと同様に、この作品も最初には酷評を受けたが、その後ゲーマーからの評価はよくなっている。最初の部分のその独特な雰囲気'だけ乗り超えられれば、そこからは素敵なゲームを楽しめるという意味でもある。
スチームコミュニティの評価を引用すると、"命中率90%なのになぜ毎回はずれるのか"という話がある。“このゲームは運によって命中するかどうかが分かれるのではないか"というコメントもある。
逆にいうと、このゲームは極悪難易度に挑戦するゲームである。できるだけ相手からダメージを受けない方法に悩まなければならないし、その反面、相手を一発でやっつける方法もまた悩まなければならないゲームである。
それがキャラクターを育成する方向性に対する悩みだろうが、ゲーム上でどのように動くのかに対する悩みだろうが、ゲーム上ではあらゆることを試すしかない。一回間違って動いただけでもゲームオーバーになったり、なんとなく動いた結果で戦況をひっくり返ることもある。
ある者にはこのようなことが、'挑戦意識を刺激するゲーム'になるだろうが、ある者には'目茶苦茶なゲーム'に思われるだろう。
もし、最近登場したゲームがあまりにも簡単すぎてつまらないと思うゲーマーなら、もしくは、正統RPGや戦略型RPGを待っていたゲーマーならば、このゲームより良い作品を見つけるのは難しいだろう。
逆に、リラックスして週末を過ごしたいという人や多方面に色々な方法を試すゲームに慣れていないゲーマーなら、このゲームをプレイする前に真剣にもう一度考えてみた方が良い。
現在、スチームからは無料バージョンを提供されている。ひとまず試してみるのも悪くない選択だろう。
果たしてあなたはDaedalic Entertainment社が出した問題を解けるだろうか。
記事:アン・イルボム (キョンヒャンゲームズ)
翻訳:フームコリア