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『Scar of the Doll (人形の傷跡)』時の風化の向う側

ゲームタイトル:
開発元:
パブリッシャー:
定価:
980円
SHINJI-coo-K 筆者:SHINJI-coo-K (池田伸次) Steam プロフィール Twitter blog

本作は遡ること1998年に前後編に分けて発表された作品で、前編がフリーウェア、解決編となる後編がシェアウェアとして販売されていたミステリアドベンチャである。本作はミステリ専門誌『メフィスト』に取り上げられたほどのクオリティを持ち、当時はかなりの話題作だった。

Scar of the Doll (人形の傷跡)

それから様々な機種へ移植されつつ2017年の今、約二十年の時を経てSteamにやってきた訳だが、今なお傑作として語ることが可能なのか。その問いへの答えを、本稿を通じ皆様へお届けしようと思う。末文までお読みくだされば幸いだ。

◆ストーリーライン

本作は「上条明日美(かみじょう あすみ)」という主人公であるプレイヤーが、東京に出て連絡が取れなくなった姉を探すため同じく上京し、姉の大学へ向かうといった導入を持つ。

Scar of the Doll (人形の傷跡)

大学へ行くと衝撃的な展開が待ち受けている。姉の研究室に居る者の中で、姉の存在を知るものは誰も居ないのである。いったい姉は何処へ?皆が嘘を吐いているのか?だとすれば何故?…そういった混乱とともに第一の死体が発見されることになる。研究室で何が起こっているのか、それを解き明かさなければならない。

◆本作のシステム、その他仕様について

本作には選択肢やフラグ立てのミスによるゲームオーバーの概念があり、いわゆる“詰み”がある。これは原典の発表が98年~99年だった当時を勘案すれば大いに頷けるが、現代のゲーマーにとっては少々手厳しい仕様といえてしまうだろう。だが重要な選択の事前にセーブを促してくれる仕様があり、なおかつ「これ以降は選択肢によりゲームオーバーになる可能性がある」とインゲームで示唆してくれる。これは他のゲームにもいえることだが、難しいことと親切なのは背反しないという事を示している。

Scar of the Doll (人形の傷跡) バックログの概念もある

◆国内インディゲーム史における本作の存在

本作は国内インディ推理ゲームの血脈において重要な役割を果たしている。
本作によって盛り上がったインディ推理ゲームの血脈は、『捜査官 梓優子』や『Mac探偵倶楽部』はもちろん、『1999Christmas Eve』など著名な推理アドベンチャーの輩出へと繋がっている(当然『小此木鶯太郎の事件簿』も入る)。たとえ彼らが影響を受けていないと主張しても、インディ推理ゲームの観察者…つまり当時から今を生きる我々プレイヤーからすれば、脈々と受け継がれているように感じる。何故なら本作が、少なくともその流れの中の大きな一部を担ったことは事実だからだ。それは、本作が国内インディゲーム史の初期に発表され強い存在感を放ち、前述の『メフィスト』誌にも取り上げられるなどの知名を得た点からも見ることができる。

◆余談―私と本作の出会い

私と本作の出会いは初期のブラウザゲーム版でMacintoshによるプレイだった。選択肢がCookieに保存され分岐したり、ブックマークがセーブになるという、Webに繋がなくても遊べるタイプのブラウザゲームだ。

Scar of the Doll (人形の傷跡) 初代iMac(ボンダイ)での動作

一方windowsではRPGツクール形式での展開も行われていて、非常に幅広いプラットフォームを持つ。オリジナルシナリオが同梱されている点からも、今回取り扱うSteam版をおすすめする。これは物語を裏側の視点からみるシナリオであり、物語に一層の深みを与えることに成功している。

◆結びに

Scar of the Doll (人形の傷跡)

本作の核は、90年代末の新本格ミステリの潮流を帯びた推理ゲーム作品だ。一つの上質なミステリ小説を読むがごとく楽しめてしまう。
やや手厳しい選択肢管理はお手軽とは言いがたいが、当時のミステリの雰囲気をゲームシステムから再認する機会にもなる。また物語に含まれるとある要素は社会派ミステリの側面も併せ持ち、ほどよい年かさを持つ方にこそまさにおすすめといえるだろう。

「今なお傑作として語ることが可能なのか」と本稿のはじめに問うた。
その答えはYESだ。
『Scar of the Doll(人形の傷跡)』は今もなお、紛れもない傑作である。
時の風化をものともせず、現在2017年の作品群として数えることが可能だ。

なお、本作の開発”Child-Dream”による新作は本作以降もずっと出ており、それらのSteam移植も望む次第である。
きっとそれらも時の風化をものともしないのだろう、と笑みがこぼれる。
無名の日常に名を付けるような、そんな作品を待つ。

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