『Grim Dawn』ハクスラなんてだいきらい

ゲームタイトル:
開発元:
パブリッシャー:
定価:
2,480円
SHINJI-coo-K 筆者:SHINJI-coo-K (池田伸次) Steam プロフィール Twitter blog

私はハクスラが苦手だ。「ハック・アンド・スラッシュ」における「ハック」要素、とりわけ、良いアイテムを取得する為に何度も同じ工程を繰り返すその作業感には嫌気が差してしまう。見下ろし型のビジュアルスタイルもダイナミクスを感じずに退屈するし、「スラッシュ」と言ったってド派手な銃声が鳴り響いて眼前で敵が血塗れになる訳でもない。花火は大きれば大きいほど好きなたちだから仕方が無い。

それにも関わらず、本作における私のプレイ時間はとうに100時間を越してしまった。それも購入後わずか二週間、十四日間でだ。本稿ではその理由を紐解くことで、本作の魅力を分析しようと思う。

◆メディーバルとウェスタンとファンタジーが融和した世界観
Grim Dawn 中世の鎧を身にまとい二丁拳銃

「メディーバル」とはそのまま訳せば中世、「ウェスタン」はガンマンが闊歩する西部劇、そして「ファンタジー」は空想・幻想的な要素である。これらを破綻させずに上手く繋ぎ合わせた世界観の構築は見事だ。武器として銃器が登場することに対する蓋然性と、剣や甲冑が登場する必然性、そして未知なるモンスターや魔法が登場することにまで説得力が与えられている。これらが上手く機能する世界観の構築に成功することで、ゲームメカニクスやアイテム、モンスターがバラエティ豊かになっているのが本作の魅力の一側面だ。

この世界観はジョークも備えており、元ネタを知っていれば思わず笑ってしまうような小ネタも散りばめられている。例えばとある闇の深い洞窟にユニークモンスター、それも人型のモンスターが居る。彼の名は“ゴラス”といい、倒すとリングを落とす。そしてそのリングにはフレーバーテキスト(アイテムを特殊たらしめる、特別に付与されたテキストだと思ってもらえればいい)が与えられており、そこには「彼は本当にその指輪が好きだった」と書かれていたりするのだ。これはほんの一例で、そのほかの会話文も何処かユーモラスで楽しげな雰囲気を持っている。

◆豊富で多種にわたる組み合わせが可能なビルドシステム
Grim Dawn
Grim Dawn

本作では選択出来る職種が複数あり、二つの職業を組み合わせた結果一つのビルド職としてキャラクターが成り立つ仕組みとなっている。これらの組み合わせは多岐にわたり、好奇心を揺さぶること間違いない。
私は近接戦士“ソルジャー”と魔法使い“アルカニスト”の組み合わせである“バトルメイジ”を選んだが、成長過程において接近戦と遠距離戦両方を存分に堪能できたし、最終的に理想的なビルドが完成したときには、両手持ちのメイスを振るう超攻撃的ビルドに仕上がった始末だ。ビルドを組み上げる過程で様々な可能性に食指を伸ばせるようなデザインになっているのである。
これだけならまだ、人によっては凡庸なビルドシステムに見えてしまうかもしれない。しかし本作には更に“星座スキル”なるシステムが実装されており、数十種類に及ぶ星座を、限られたリソースポイントを用いて取捨選択することで、職業は同じでも違う趣のバトルメイジを作り上げることも可能となっている。これにより本作はプレイヤーに嬉しい悩みの種を与えることに成功している。

◆派手で爽快感があり飽きないバトルフィール
Grim Dawn

本作における戦闘はとにかく派手で爽快感がある。攻撃時のサウンドも太く逞しく、一撃一撃に重みがあり敵をなぎ倒す喜びが大きい。これはどの職業でも同じ事が言える。魔法使いならば範囲攻撃で一気に敵を倒せるし、戦士でも複数の敵に当たり判定のある攻撃が出来るので気持ちよさは半端じゃない。

◆秀逸なゲームバランス
Grim Dawn ハイテンション待ったなしのレジェンダリーアイテム(紫表示)

有用なアイテムのドロップ率は高めに調整されているため、ハックアンドスラッシュゲームとしての醍醐味であるアイテム収集が大いに楽しめる。あまりに低確率な、期待の薄いハックをする必要があまりない。つまりリターンバランスが良いのでやりがい、戦いがいがあるということだ。これらはプレイヤーの収集欲を満たしてくれるし、収集に対する射幸心を煽ってくれる。
また、本作は決してプレイ時間を裏切らない。プレイを重ねれば重ねるほど成長するし、それに応じたリターンが見込める、プレイヤーの努力に応えてくれるデザインとなっている。

Grim Dawn ドロップ地獄(一定のレアリティ以下のアイテムは非表示にも出来る)

本作はマルチプレイにも対応しており、レベル差が多少あっても、それこそ10レベル差くらいなら難なく協力プレイが出来てしまうくらいに許容範囲が広い。最大四人まで対応しているので、野良プレイはもとよりフレンドと遊ぶのも楽しいだろう。

◆本作にまつわる特別なエピソード
Grim Dawn

本作には三つの拠点が存在するが、その中でも中盤に赴くこととなる「ホームステッド」という集落に居る「近衛兵ゼドリー」というキャラクターにはモデルがいる。それは「Lee Hathway」という実在した人物で、癌を患い闘病中に「Zedlee」というキャラクターネームで本作をプレイしていた。そして2015年、本作が完全版としてリリースされる前に天に召されることになった。その事を息子の「John」氏が公式フォーラムに書き込んだ所、デベロッパーが彼をゲーム内に登場させることを決めたのだ。

こういった事例は、開発者のみならず私達プレイヤーにも勇気を与えてくれる。ゲーム作品を愛することを肯定すること、それはゲーム作品を愛する行為に意味をもたらす。字義通り自分の残り時間をゲームに費やすことを肯定する。ゲームにはその価値があると信じさせてくれる。この裏話を知っているか知らないかで本作のゲームメカニクスが変わるわけではない。だが、このエピソードはゲーマーにとって特別だ。
この話を知ったとき、私は、自分が死に向かう際にはなんのゲームをプレイするのだろう、そう考えた。

◆私にとっての『Grim Dawn』とハクスラ
Grim Dawn

私はハクスラが苦手だ。だが『Grim Dawn』は特別だ。
何故なら、私の持つハクスラに対する偏見の一部を確実に打ち砕いてくれた大恩のある作品だからだ。
そしてその体験は、以降プレイする作品の幅を拡げてくれた。
現に今も、本稿を書き上げたらあと一クエストだけ進めよう、と微笑みながら思案している始末なのだ。
まだ拾ってすらいない装備の組み合わせを空想しながら、テーブルに珈琲を置いて。
きっと気づけば珈琲は空っぽになっているし、レジェンダリアイテムも拾えていないのだろうな、と思いながら。
今夜はきっと、眠れない。

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