あてのない旅へ「ルナティックドーン 前途への道標」

ゲームタイトルルナティックドーン 前途への道標
    開発元Artdink
パブリッシャーDegica
     定価:1,620円

クラシックという言葉が、レビューにおいてよく使われる。ヒップホップの世界では「教科書」「バイブル」等と置き換えて、尊敬を示す際にも使われる言葉でもある。
ただ単に古臭いという意味で使うのではなく、古典的であることへの賞賛にも使われるのは言うまでもないだろう。

以前、「CLANNAD」を紹介した際に、『家庭PCは国民機と言われるNECのPC-98シリーズが猛威を振るった時代』と書いた。例えばファルコムの看板タイトル「イースシリーズ」「英雄伝説シリーズ」、アートディンクの「A列車で行こう」等は、今でも新シリーズや派生作品が生まれている名タイトルである。
今回はその中から、アートディンクの「ルナティックドーン」シリーズの一つを紹介しよう。

シリーズ4作目のタイトルでもある「前途への道標」は、Windows95-98の時代に発売された。
初代は93年、PC-98向けで発売された後期のタイトルだ(デジカよりパブリッシングされている「レジェンドパック」にも含まれている。)
まだゲームの地位が低く、各社アイデアと技術をふり絞って作品を作っていた時代に、どこよりも早く文字通り「何をしてもいい」というアイデアを形にしたゲームでもある。
プレイヤーは世界を救うヒーローでもヒロインでもなく、普通の冒険者である。死んでしまえばその生を終えることになり、その冒険も終わってしまう。
「何をしてもいい」は魔法の言葉でもあり、途方に暮れる言葉でもある。
正義をなすも、悪に走るも個人の自由であり、その見返りも双方に存在する。

ルナティックドーン 前途への道標
起動画面もコピーライトを除き当時のまま。
パッケージデザインにも使われているフィギュアの造形は今見ても素晴らしい。

シリーズ作品に共通して最初にマップがランダム生成されるため、同じ世界を見る事は無い。世界の形や情勢ですら、プレイヤーの望むまま新規に始めることが可能だ。ゲームバランスに特に大きな影響はないので、思い切って適当に決めてしまうのも一興である。

ルナティックドーン 前途への道標
この設定で国の位置がランダムに決定される。
ルナティックドーン 前途への道標
世界を生成した後は、自身の分身であり、この世界を旅する主人公の設定へ進む。
誰を選んでもいいし、見た目も名前も後から変える事が出来る。
ルナティックドーン 前途への道標
無事キャラメイクも終えて開始と言いたいところだが・・・

本作はキャラクターを選び終えると、チュートリアルなども無くそのままゲームが始まる。いささか不親切ではあるがここはグッとこらえてほしい。当時も「ここから何をしていいか分からない」と投げ出してしまったプレイヤーが自身の周りにいた。
なにしろ本作品には”最終目的”というものが存在しない上、プレイヤーが出来ることは実に多岐にわたる。
 1. 酒場でパーティーを組んで依頼を受ける。
 2. あてもなく世界を彷徨う。
 3. スリ、強盗、殺人、誘拐等、悪の限りを尽くす。
上記で挙げただけでもほんの一例であり、究極的には世界を崩壊させることだって可能である。
投げっぱなしで始まってしまうのは残念な部分だが、逆を言えば制約もなく世界を見てまわれる楽しさがそこにあるのだ。

ルナティックドーン 前途への道標
ルナティックドーン 前途への道標
当時のままのマニュアルファイルもインストール場所に同梱されているので、ゲームプレイの前に熟読しよう。さらに詳しい情報が必要ならば、ゲーム中にヘルプの項目から確認すると良いだろう。
ルナティックドーン 前途への道標
各所にある酒場では誰かを旅へ誘ったり依頼を受けてお金を稼ぐ事ができる。

世界を旅するうちに懇願され、大きな依頼を受けたりする事もあるだろう。はたまた、常に薄暗いダンジョンに潜りっぱなしになる可能性だって否定出来ない。…もしかしたら気づけば賞金首になっているかもしれない。
プレイヤーによって千差万別な展開があり、どのような楽しみ方を見出すのかはわからない。筆者もWindows95当時の原盤からSteam外でのDL販売に至るまで、ありとあらゆる自由を楽しんできた。その度に毎回違う楽しみや違う世界が待っているのが「ルナティックドーン」の持つ魔力と魅力であり、プレイヤーを離さないのである。

ルナティックドーン 前途への道標
戦闘はコマンドタイプ。、距離の概念があるため人員配置も重要だ。主人公である自身が倒れた場合はその時点でゲームオーバーとなる点にも要注意だ。
ルナティックドーン 前途への道標
ダンジョンはワールドマップと違って手動で探索しなければならない。罠や凶悪なモンスター、時には重犯罪者が潜伏していたりもする。また、照明器具を持たない場合は満足に視界を取れないため危機に陥る。

今でこそ「フリーローミングRPG」や「オープンワールド」とジャンル的には呼ばれるようになったが、ルナティックドーンはその名称より先にそのゲームデザインを確立している。
自身の役割を世界で演じる様は由緒正しき「ロールプレイング」であり、そのロールはゲーム内で見事に表現される。

ルナティックドーン 前途への道標
家を購入すれば、異性同性問わず結婚が可能となり、性別を問わず子供「も」誕生する。子供が誕生すれば、次代にプレイを引き継ぐことが出来る。命を次の代へと繋ぐのである。

また、本作品における「死」とは絶対的なものである。
主人公であれば死というエンディングを迎える事になり、仲間であれば永遠の別れとなる。

ルナティックドーン 前途への道標
蘇生手段はあるにはあるのだが、おいそれと手が出せるものではない。

ルナティックドーンは名作ではあるが、メジャーと言える程広まったゲームとは言えない。
だが既プレイヤーのプレイ体験が次の誰かに伝わり、そして更にその経験も誰かに伝わり、と・・・
この記事を読んでいる君も、はたまた君の友人も、この世界の冒険者になりえるのである。その時は酒場で、共に冒険の話でもしようじゃないか。

「このエール酒は俺からの奢りだ。」

余談ではあるが、Steamフォーラムでは本作品を含むルナティックドーンシリーズのユーザーサイドの英語翻訳活動が熱気付いている。1ユーザーとしても応援させていただきたい。

*筆者からのゲームを楽しむためのアドバイス

2016年現在では当時よりもPCが高スペックとなっている関係で、ダンジョンにおいて操作が難しい場面が多い。下記スクリーンショットを参考にゲームスピードを各個人で調整してほしい。
また、ゲームに慣れない限りは戦闘時の設定の戦闘速度は一番遅い設定にしておく事をお勧めする。

今すぐウォレットチャージでこのゲームをゲット!

PROスチーマーのSteamグループが出来ました!よろしければ参加をお願いします!