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「彼は左の扉に入りました」から始まる、選択肢の物語『The Stanley Parable』

ゲームタイトルThe Stanley Parable
    開発元Galactic Cafe
パブリッシャーGalactic Cafe
     定価:1,480円

筆者:Litchi
Steam プロフィール

突然だがあなたは「この『The Stanley Parable』の記事を読む」と、誰かに宣告された場合、どうするだろうか?そうするつもりだったから読む?それとも、そのとおりにするのが癪だからと読む気を無くす?

どちらにせよ、ここで大事なことは誰かに"ちょっかい"をかけられることが、意思決定に影響が出るかもしれない、という部分だ。なぜこんな話から始めたかというと、もちろん理由がある。この『The Stanley Parable』という作品が、そういうゲームだからだ。

The Stanley Parable
誰一人として居ない、異常な空間から物語は始まる

このゲームでは主人公「Stanley」に様々な形で"二択"が提示される。左と右、どちらへ行くか。二つのボタン、どちらを押すか。進むか戻るか、などだ。これだけなら何の変哲も無い選択肢ゲーでしかないだろう。しかし、このゲームの面白いところは、選択に対する"ちょっかい"をかけてくる存在にある。それがもう一人の登場人物「ナレーター」。

The Stanley Parable
ナレーター「彼は左のドアに入りました」

本来この役職は、他のキャラクターとは違う、一歩引いた"メタ的"なものだ。しかし、このゲームで彼は積極的に「Stanley」自身へと語りかけてくる。やれ「君は左を選ぶ」とか「右のボタンを押す」とか「この道を戻る」だとか。もちろん『なぜそちらか』という部分に対しての"ネタばれ"も忘れず添えて。「左には何があるから~」「右を押すとこうなるから~」といったような具合でだ。

The Stanley Parable そう、その数字をスタンリーは知らなかったのです。…が、
The Stanley Parable 「この奥へ行くと死にます」と言われてしまうが…

こちらが選ぶよりも前に、というより選択肢が提示されるよりも早く彼は語ってくれるわけだが、
本来であればそういった選択肢の結果というものは、プレイヤー自身が己の力、あるいはトライアンドエラーによっておのずと知っていくことで、その部分こそゲーム、物語に興味を抱かせるはず。

なのに、このナレーターの存在というのは真逆をいくもので、答えを教え、誘導してくるわけだ。では、このナレーターは邪魔者なのか?いや、そんなことはない。なぜだろう。

例えば、あなたは普段ゲームをしているとき「これをしたらどうなってしまうか?」といった衝動に駆られたことは無いだろうか。あの壁の向こうへ行けたら。持ち込めないはずのアイテムを持っていけたら、と。そしてもし、その思い付きを実行できるかもと知った時、それでも何もしないだろうか?私はやってみると思う。そんなことをするのはゲーム本来の楽しみとは違うはずなのに、わくわくしながらも、どうなるのか見てみたくなると思う。

このゲームではどうだろうか。最序盤にておける選択の場面で、ナレーターは語る。「彼は左の扉に入りました」と。私が初めてこのゲームをプレイした時は言うまでも無い、迷わず右の扉を進んだ。それも、少しだけ悪戯心にゆがんだ、にやにやとした笑顔を浮かべながら。なぜなら、あからさまに正解だとされる道先から手招きされてしまうと、そちらを選ぶ気になんてならなかったし、なにより、どうなるか見てみたかったからだ。

The Stanley Parable 「上の階のオフィスへと歩きました」…さて下には何が?
The Stanley Parable わざとらしくスポットされている「メンテナンスセクション」

ではその結果は?"あからさまな正解"でない道は間違った選択だったか。

いいや、それでも物語は破綻しない。ゲームは続き、ナレーターは語る。「きっとStanleyは一度休憩室に寄りたかったのだろう」と。そう、ズバリ右の部屋には休憩室があり、お話は「途中で休憩室によった話」に切り替わる。このゲームにおける選択肢は正解かどうかではなく、どの道を選ぶか、ということになっているわけだ。

The Stanley Parable
例え最初の扉を右に行こうと、お話は自然な形で展開していく

さあ、そろそろこのゲームの魅力というものを説明しよう。一言で言うならそれは、ナレーターの反応、"メタ"なツッコミを楽しむというもの。

選択肢があるようで、実質答えが決まっている分岐モドキや、意味がありげで何の意味も無い物が溢れる他のゲームに対し(……つまらないな)と思ってしまう心理。それに対して、誰も居ない机を調べれば「やはりここには誰も居ないようだ」とか、その場でじっとしていると「Stanleyは少し休んだ」とか、いちいち長ったらしい言葉で返してくれるナレーターがいるなら、それはもう特別といえるほどの特徴だ。そしてその凝った特徴こそがプレイヤーの心をつかみ、いくら事前にネタばれされようがむしろ、それこそが楽しみだと思えるようになってくる。この作品で感じる未知のおもしろさは、どんな些細な行動に対しても、こちらの期待した以上の反応を常に提供してくれ、それを踏まえたうえで、それぞれまったく違ったストーリーへと展開することにあるといえるだろう。

The Stanley Parable
謎のボタン…そして「彼は……

さて最後になるが、本作品には日本語化が可能なパッチもあるため、英語に自信が無い人も安心して楽しめる、ということを付け加えた上で、私自身がナレーターになりきっての一言で筆をおくとする。

「あなたは『The Stanley Parable』をプレイしてみることにした」

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