目指せ!誰もが笑顔の刑務所!?『Prison Architect』

ゲームタイトルPrison Architect
    開発元Introversion Software
パブリッシャーIntroversion Software
     定価:2,980円

筆者:Litchi
Steam プロフィール

計画的な支配構造世界。それは果たして、必ずしもディストピアであろうか?
その答えは、完璧な管理社会「刑務所」にあった。

『Prison Architect』は「刑務所の運営」という一風変わったテーマの経営シミュレーションゲームだ。
3年もの長い間"早期アクセス"状態だったが、10月のアップデートでVersion1.0になり、正式版としての販売が始まったばかりの本作。

その内容は、刑務所長となったプレイヤーが、受刑者に対し、適切な設備を建設、人員を配備することで、国からの補助金や、その他諸々の手段により資金を獲得し、それを元手にさらなる刑務所の拡大をしていくというものだ。

Prison Architect
まっさらな更地からスタート。施設の構成は自由だ。

テーマこそ珍しくはあるものの、やることといえば、その他の経営シミュレーション系ゲームとそう変わらない。黒字を目指しつつ、ゲームオーバー条件を回避し、目標達成まであらゆるトラブルに忙しく頭を働かせるという部分においては。

では、このゲームの面白い点とはどこだろう?
それは、"刑務所"というシチュエーションを活用し、プレイヤーに「囚人達を養う必要がある」と思わせるほど多岐に設定された、密な管理要素だ。

Prison Architect 囚人達のタイムスケジュール画面。セキュリティレベルごとに設定ができる。
Prison Architect 教育を施すことで、刑務所内の作業を任せることが可能に。

そのひとつとして、"囚人の個人差"から挙げていこう。
当然のことではあるが、現実に生きる我々にはそれぞれ、違う生き方があり、異なる環境で生きている。しかしながら、これも当然なことに、ゲームというフィクションの世界において、そのことは必要の無いノイズでしかない。しかし、この『Prison Architect』では、その情報を効果的に取り込んでいる。これは、囚人達のプロフィールを見れば良くわかるだろう。受刑者にはそれぞれ違う名前や年齢、犯罪歴、家族構成、判決内容と懲役などがきちんと設定されているのだ。

Prison Architect
こういったプロフィールが全囚人に設定される。中には項目外の隠し個性も。

この囚人達は、ゲームが進むと数百人や千人単位で管理することになるが、ゲーム内での名前とグラフィックが設定されているキャラクターの数は2万人を超えていることから、同一人物は出てこないだろう。つまりこれは、作り手が力を入れている要素として「囚人たちをただの不特定多数として扱わせたくない」という意図があると言える。

この意図がどんな形でゲームに反映されているかは、囚人の個性だけでは無く、建造できる施設の種類の多さからも見て取れるのだが、しかし、その種類を語る前にひとつ考えてみてほしい。
そもそも、刑務所にはどういう施設があるのだろうか?

Prison Architect
牢屋があれば刑務所は成り立つだろうか?いいや、それだけでは足りない。

何も知らない人からすれば「衣食住が最低限のみ確保された場所」と思うのでは?
と、すれば、そこから連想される施設は、寝床、食堂、トイレと労働する場所があれば、刑務所と呼べるはず。

もちろん、このゲームでもそういった施設は作れるし、必要になる重要な要素ではある。しかし、繰り返すが、このゲームでは「囚人の個性」が重要視されているのだ。そのため、さきほど挙げた施設程度では到底足りない。

理由として、囚人は様々な"要求"、つまるところ"不満"をもつからだ。トイレに行きたい、お腹が空いた、などという生理的なものがわかりやすい例だろう。しかし、いくら囚人であろうと人の子。であれば、家族と面会したい、プライバシーは確保したい、汚い服は着たくない、と思うのは、決して不自然なことでは無いはず。そして、実に人間くさいこれらの要求は、実際にゲームにある上、他にもたくさんの要求項目が設定されているのだ。

Prison Architect
円滑な刑務所運営のためには、すべての要求を掌握する必要がある。

もしも、これらの項目を考えず、"ただの収容施設"を作り、そういった"不満"を無視し続けてしまうとやがては、ストレスが刑務所自体への反感にシフトし、規則破りや反逆、果ては集団で脱走を企てるほどの大規模な運動にまで膨らんでしまいかねない。

Prison Architect
反逆に対する罰も詳細な設定が可能。様々なケースが想定されている。

つまるところ「囚人の個性」と語ってきた要素は,「衣食住が最低限のみ確保された場所」程度の刑務所では運営ができない、というバランスを作り出していることにつながる。そして、このバランスを構成するという意味から、先ほど少し書いたように、施設、設備の種類はとても多いわけだ。

Prison Architect
作成可能な施設はこんなにもある。しかし、規模が大きくなればどれも必要に迫られるだろう。

様々な要求をコントロールするために揃えられたそのラインナップは、一見して個々の意味を覚えることが面倒にも思えるかもしれない。

が、チュートリアル代わりのキャンペーンモードもあることから、プレイしていれば自然にわかってくるし、シビアに感じられる管理項目は、全てを一度にクリアしないといけないわけでなく「脱走させなければ良い」という刑務所らしい妥協的志向の中、好きに強権を振るってもなんとかなる。
多少赤字であっても、資金援助という形で、一時しのぎの無茶な経営だって可能だ。

Prison Architect
電気と水道の供給ラインも自分で設計し、必要設備へ引かなければならない。

『Prison Architect』において作られた、たくさんの設定項目と、管理するためのあらゆる手段。

そして、そこからなる歯ごたえ、プレイヤーに委ねられた自由度は、他の経営シミュレーションではなかなか見られないのではないかと思う。

Prison Architect 警備の配置、巡回ルートも一人ひとりに設定可能。立ち入り禁止区域の詳細な設定もできる。
Prison Architect 監視カメラやセキュリティゲートなどに対する指示系統の流れも組む必要がある。

見た目こそシンプル、舞台こそ珍妙。しかしながら、本作で感じることの出来る楽しさというのは、刑務所という固いイメージからは離れた、囚人達の人間味によって彩られているのだ。

最後になるが、本作には日本語化MOD(SteamワークショップからDL可)もあるため、英語が出来なくとも安心してプレイできる。さあ、あなたも、この絶対権限を好きに振るい、誰もが笑顔で暮らせるユートピアな刑務所を運営してみてはいかがだろう。

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