【ゴールデンウィークに伴うサポートおよび商品出荷に関するお知らせ】

変なオッサンたちが暴力に明け暮れるシリアスRPG『LISA』

ゲームタイトルLISA
    開発元Dingaling
パブリッシャーDingaling Productions, LLC
     定価:980円
    DLC:498円
    OST:698円

筆者:HayanieMozu
Steam プロフィール

奇妙なゲームだ。

今回紹介する『LISA』には男ばかりが出てきやがる。しかも揃いも揃って一癖も二癖もあるオッサンばかりだ。主人公は髭を蓄えたヤク漬けのハゲで、最初の仲間はヒョウ柄ジャージのお節介野郎。やたらと話が長い奴がいたかと思えば、口を開けばつまらない冗談しか出てこない奴に酒臭い息しか吐かない飲んだくれ、動物溺愛爺もいれば覆面レスラーもいて、鶏おじさんというもはや何がなんだかわからない奴までいる。RPGの仲間ってのはある程度華があるもんだと思ってたが、『LISA』にはそういう常識が通じないらしい。

そもそも『LISA』の世界には女がいない。

大手を振って歩くのは暴力と略奪。そこかしこを血で染めて世界を荒廃させる。しかし、そこにたったひとりの女が現れたことで世界は一変するというわけだ。男だけで終焉を待つしかなかった世界に光明が差し込んだのだから当然っちゃ当然だろう。そうは言っても元はといえばその女は主人公ブラッドが赤子のときに拾って、仲間とともにひっそり育てあげたもの。人の手に渡った彼女の身を案じたブラッドが、彼女を助け出そうと旅を始めるところから物語は始まる。

LISA 拾った赤子をあやす若かりし頃の男
LISA 扉をぶち破ろうとする男

奇妙な世界ではあるが、物語として描かれるものはシリアスなのが本作の特徴。しかしその前に最大の魅力と言ってもいい個性豊かなキャラクターたちを紹介したい。冒頭では仲間について語ったが、NPCたちも負けず劣らず強烈だ。珍妙さのなかに薄暗い殺しのエピソードを抱えるブルドーザー運転士、やる気のない奴が1人いる特撮戦隊、道場破りにビビって逃げ出すチキン道場主、どう見てもドライブスルーの受付なのにそこから神様に食べ物をねだる人々、ドラム缶に入って転がる謎の集団など、挙げようと思えばキリがない。むしろ変な奴しかいない。ビジュアルも多様で見ていて飽きず、台詞や戦闘ダイアログによって人物像が引き立てられている。戦闘の雰囲気も含め、任天堂の『マザー』シリーズを引き合いに出す人が多いのも頷ける。ただ、私は日本語化MODを利用してプレイしたので、その字幕の恩恵によるところも大きいことを付け加えておく。

そしてこの世界には「ジョイ」という麻薬に似た薬物が出回っている。ブラッドを含む何人かのキャラクターはジョイ中毒者で、戦闘時に服用すれば自身を大幅に強化させられる一方、時折生じる禁断症状によって弱体化のリスクも抱えている。ブラッド自身もジョイをやめたいと願っており、作中でも重要な位置づけとなっている。

LISA めちゃくちゃカッコいいのでポーズをとる必要もないと言い張る男
LISA バットで襲い掛かってくる風の男

システム部に目を移すと、RPGとしては珍しく2D横スクロール形式。探索やアクションの要素も盛り込まれており、とにかく退屈さを感じさせない作りとなっている。主人公が薬物中毒のためか、たまに過去の断片や幻覚のような場所を訪れることがあり、胸につかえるような独特の不気味さも魅力的だ。楽曲は世界観と同じくらいサイケデリックかつかなりの数が収録されており、音楽による満足度も非常に高い。

LISA 幻覚に現れる男
LISA バイクの腕前を見せる男

戦闘はシンボルエンカウントで突入し、ターン制のコマンド入力で戦う。オールドスクールなシステムだが適当なボタン連打で勝利できるほどにはゆるくなく、とは言え適度にやさしい。ほとんどの場合で、倒してしまった敵が復活しないのも特徴だ。終末世界においてあらゆるリソースは、そして女がいないこの世界では人でさえも有限なのだ。

LISA 世紀末な世界には欠かせない棘つき肩パッドの男
LISA 異形となってしまった男

資源の少なさと本作の破天荒さは、野宿をすると仲間が誘拐されたり、持ち物を盗まれたりする可能性があることにも現れている。お金(女のいないこの世界では、エロ本が通貨の代わりで「マグ」と呼ばれる)も終始不足気味で、装備を揃える余裕もあまりないくらいだ。

さて続いてシリアスの部分についてだ。

本作は公式サイトで「The Painful RPG」を謳っている。それを象徴するのが、一部のシーンで払わなければならない代償だろう。キャラクターの命だったり、現在の持ち物をすべてだったり(敵は復活しないのに!)、あるいは体の一部だったりと決して軽くないものを天秤に掛けさせられる。さらに奪われたものが返ってくるような手ぬるさはなく、ただただ衝撃と痛みを伴うのも「The Painful RPG」たる所以だろう。

物語も、コメディやブラックユーモアが大きな比重を占めていたものから徐々に陰鬱さを増していく。クライマックスの着地自体は素直なものだが、そこに至るまでの道筋は丁寧で、その過程を顧みずにはいられないパワーも備えている。特にRPGらしい演出が仕掛けられた場面は心動かすものがたしかにあり、本作屈指のシーンとして挙げられるだろう。エンディングを迎えてもさまざまな謎が残ってしまうが、続編にあたる「LISA the Joyful」がDLCとして販売されており、そちらをプレイすれば解ける謎もありそうだ。

どこを切っても男たちと暴力が詰め込まれている本作は、おそらく人を選ぶだろう。ドット絵とはいえ、CEROでいうところのD指定相当の描写もある。だが、一歩足を踏み入れればそこには唯一無二の世界が広がっており、中毒に陥るかのような魅力がある。もしも『LISA』のテイストにピンと来たなら、一度くらいは身体が拒絶するかどうか味見してみてほしい。引き返すのは一度試してからでも遅くはないのだ。

LISA
LISA

今すぐウォレットチャージでこのゲームをゲット!

PROスチーマーのSteamグループが出来ました!よろしければ参加をお願いします!