ようこそ紳士淑女の諸君、存分に殺し合いを楽しんでくれ給え。『The Ship: Murder Party』

ゲームタイトルThe Ship: Murder Party
    開発元Outerlight Ltd.
パブリッシャーBlazing Griffin Ltd.
     定価:980円

筆者:GREENER
Steam プロフィール

※今回は試験的にスクリーンショットを極力使わない方向でお送りしています。 アイコンなどの一部を除き、実際のゲームにこれらの画像は登場しません。

The Ship、それは逃げ場のない船上で行われる狂気の殺人ゲームである。豪華客船クルージングへ無料でご招待。そんなうまい話に釣られて集まった客達に、仮面の主催者から恐るべき趣向が明かされる。

The Ship: Murder Party
別売のシングル用「The Ship: Single Player」ではちゃんと登場します。

『現在この船は本来の航路を外れ、世間では行方不明と報じられている。助けはこない。そこで諸君にはひとつゲームに参加して貰いたい。

ルールは簡単だ。二人一組となり、一方は相手を殺せれば勝ち、他方は生き残れば勝ちだ。船内にあるものは自由に使ってくれて構わない。見事殺し果せたものには賞金をだそう。だが狩る側もまた他の誰かにとっては狩られる側にすぎないことをお忘れなく。大金を手にして自らの足でタラップを踏むか、死体袋に詰められ運びだされるか、あるいは棄権してサメの餌となるか、どのような形で船を降りるかは君達次第だ』

The Ship: Murder Party

そんな設定の元で遊ぶ本作は、オンライン対戦型のFPSである。各々の利害関係を整理するとこのように輪を描く。例えばオレンジは『標的』である赤を殺せば賞金が手に入り、また自分を狙う『狩人』である黄色は返り討ちにしてもよい。他の乗客の場合も同様に、殺していいのは両隣の二人だけ。それ以外の人間には手を出してはならない。しかし与えられる情報は標的に関するものだけだ。これがこのゲームの最大の肝である。

上図の8人の例で言えば、自分と獲物を除いた6人の中の誰かひとりだけが自分を狙う狩人なのだ。これは是非とも返り討ちにしたい。しかし単純な確率でも1/6で、参加人数が増えればその数字はさらに小さくなる。その上うっかり関係ない人を殺し過ぎたときに待っているのは強制退場、Auto Kick + BAN という重いペナルティだ。自分の命を狙っている誰かさんは群衆にまぎれ、いつどこで襲ってくるのかわからない。これは端的にいえば疑心暗鬼を楽しむゲームなのだ。

それぞれが誰を殺せばよいのかというクリア条件を伏せたまま、無関係を装って密かにチャンスを狙う。操作や画面構成はオーソドックスなFPSなのに、この遊び心地は正体隠匿系のテーブルゲームにも似ている。人間相手に遊んでこその読み合いと、人間相手だから発生するとんでもない事故がこのゲームにはある。

The Ship: Murder Party

謀は密なるを以ってよしとす。本作でも殺害は密かに行われなければならない。武器を構えた状態を警備員や監視カメラに見られると即座に逮捕され、一定時間の収監に加えて所持していた武器に応じた罰金が課せられる。度を超えた借金を抱えた場合にもやはり強制退場が待っている。もっともBANは60分で自動解除される設定だが、行動には細心の注意が求められる。

また、乗客の目線も数が集まると同様の効果を持つ。これはほかと違って死角が常に変動し続けるためなかなか厄介だ。

The Ship: Murder Party

そこでそれらの情報は画面右下に集約され、感じる視線の種類が解るようになっている。大きな目玉アイコンが緑ならセーフ、赤なら逮捕されかねない状態というわけだ。標的は名前と、30秒に一度くらいの間隔で更新される目撃情報、一度挨拶したことがあればその容姿が表示される。外見情報はラウンドを跨いで持ち越されるので挨拶回りはそれなりに有利になれるが、帽子や被服に伊達メガネと変装用アイテムもあるので確度は低い。

The Ship: Murder Party

人が人を求めて一箇所に密集してしまうと誰もなにもできない膠着状態を産んでしまう。それを解消するのがこれら8種の『欲求』だ。乗客は時間経過やとった行動によって各欲求が増減するようになっている。ご飯を食べればトイレに行きたくなり、トイレに行けば手を洗いたくなる。放置すれば餓死や乾き死にはもちろん、不潔でも病気で死んでしまうし、人は退屈すぎても死んじゃうのだ。そういう意味では適当な小説と缶ジュースにスナックを買い込み、トイレの個室に篭って過ごす「便所飯」がわりあい満たされた生活というのがちょっと可笑しい。

The Ship: Murder Party

船内には欲求を満たすための各種施設に加え、乗客を蒸し焼きにできるサウナや氷付けにできる冷蔵室、はたまた帽子掛けの端のフックを操作すると開く隠し部屋なんてものもある。無関係の人間を殺しすぎること、多額の借金を抱えることの二つ以外はすべてが容認されている。警備員を買収してもいいし、衆人環視の中で武器とは判定されない傘や杖を投げつけてやったっていい。標的ではないことを承知で獲得賞金額トップを襲い、わざと返り討ちにあうペナルティの押し付けだって戦略だ。

いかに他人を出し抜くかはプレイヤー次第。誰もが互いを疑いの目で見ているからこそ、巧く騙して油断を誘えたときの快感はひとしおだ。10年近く前のゲームではあるが、いまだ根強いファンがいる本作。長き沈黙を破り、2016年にはリマスター版が出ることが発表された。今のうちに旧作で予習をしておくのも悪く無い。

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