故きを温ねて新しきを……え、30年熟成モノ!?『The Bug Butcher』

ゲームタイトルThe Bug Butcher
    開発元Awfully Nice Studios
パブリッシャーAwfully Nice Studios
     定価:980円

筆者:GREENER
Steam プロフィール

今回ご紹介するのは『早期アクセス』にて取り扱い中のゲームである。早期アクセスとはなんぞやという説明は文末に追いやっておくとして、このレビューは開発よりキーの提供を受け、2015年8月末の段階で書いた文章であることだけは最初にお断りしておく。

さて、ストアにも記載されているが、本作には元ネタというべきゲームが存在する。AC版が1990年に稼働を開始し、92年にはカプコンからSFC版が発売されたシューティングゲーム『Super Pang』だ。

The Bug Butcher
駄菓子屋の店頭に置かれていたうろ覚えスーパーパン

固定画面の中をボールがぼよんぼよん跳ね回っており、天井めがけてゆっくり伸びるワイヤーガンでこれを撃つだけのシンプルなゲームである。ボールの大きさは大中小に特大の4段階あり、ワイヤーを当てるごとに「パンッ」と小気味良い音を立てて割れ、一段階小さいボール二つに変化する。最小サイズを撃てば消滅するので全て消すとクリア。

ボールは大きいほど高く弾むので避けやすいし、的も大きく当てやすい。だからといって大きなものからどんどん割ってしまうとたちまち小玉であふれて収拾がつかなくなる。大きなものには当てないように注意しながら小さいものを選って消すのがセオリーのゲームだったと記憶している。そうした手順が占めるウェイトの大きさを鑑みてデベロッパーはパズルシューティングとかパズルアクションを名乗っていた。

ジャンプアクションっぽい横からの視点ではあるし、ボールも主人公も重力の影響下にありはするがジャンプはできない。またワイヤーも真上にしか撃てないため、自機が左右にしか動けないギャラガやギャラクシアンといった往年のインベーダーゲームにも通じるものがある。

それもそのはず、実はAC版は改題した後継作にすぎず、オリジナルの「キャノンボール」はハドソンがまだパソコンソフトメーカーだった頃に数多の機種で発売されたものらしい。MSX用に始まり、富士通のFM-7/FM-8用、NECのPC-6000/PC-8000シリーズ用、シャープのMZ/X1シリーズ用、東芝のパソピア7用と、まあ出るわ出るわ。なんというかハードの群雄割拠っぷりのほうに戸惑う有り様である。要はそんな8bitパソコン全盛期、ファミコン本体が発売された1983年前後に端を発する歴史あるゲームだということだ。

前置きが長くなってしまったが、それでは表題作『The Bug Butcher』の話に入ろう。

The Bug Butcher
標準で日本語対応……はいいけど、なんか平べったいなお前!

主人公Mr.Butcherは製造開発プラントに侵入したバグどもを駆逐すべく招聘された掃除屋である。部屋ごとに通路を封鎖し、付近のバグを呼び寄せてこれを一網打尽にするのが仕事だ。プラントは異生物の侵入を検知すると一定時間で施設ごと破壊する除染装置、つまり自爆装置が作動してしまう。けれど彼を招いた科学者がこれを解除できるので、そいつを守りつつ時間内に敵を全滅させればいい。

The Bug Butcher
困ったときのゲージ消費技「フリーズグレネード」 敵がその場で凍りつく

ブッチャーさんには短距離ダッシュ、敵を倒して溜まるゲージを使った無敵時間ありのゲージ消費技、科学者がたまに投げてよこす特殊弾攻撃と強力なスキルが揃っている。さらに各ステージごとに三段階あるスコア目標とコンボ目標を達成して得られる金でステータス強化までできて、挙句に敵がときどきスピードアップや2倍ダメージを落とすという厚遇っぷり。

The Bug Butcher
特殊弾「ライトニング」は付近の敵に伝播するので小型の大量発生には滅法強い

一度に一発しか撃てず横っ腹に引っ掛けるように使っていたワイヤーガンと比べると、通常攻撃ですらボタン押しっぱなしで連射してくれるし、敵に当てると少しだけ空中に押し戻す力もあって能力的に隙がない。しかし本作の根っこはまぎれもなくSuper Pangである。相変わらずジャンプは出来ないし、真横に撃つことも出来ない。踏み潰されるリスクを背負って真下に潜り込むしかないのはそのままだ。

The Bug Butcher
真っ先に通常攻撃だけを最大強化するサービス精神のかけらもない筆者の図

敵はというと大型から小型が生まれるところまでは同じだが、主人公の強化と競うかのように種類ごとに個性豊かな能力をもっている。不安定に羽ばたいたかと思うと急にダイビングアタックをしてくる奴、重力を無視した動きでビリヤードの玉のように壁や天井で跳ね返りまくる奴、こちらが攻撃しなくても雑魚を産みまくる奴、あろうことか真下にレーザーを放ってくる奴までいる。

The Bug Butcher
唯一ブッチャーさんではなく科学者を狙うバグ「スパイダー」

いまだ準備中のコンテンツもあり、どのぐらい遊びごたえのあるものになるかはわからない。だが各ステージの制限時間はたった2分。実際のプレイはそれ以下という短いスパンで回るゲームなこともあり、なにかの合間に1~2ゲーム遊んで10分とかからず元の作業に戻る。なのに30分後にはまたコントローラに手が伸びているという、そんな目の前にあるとつい食べちゃうお菓子みたいなゲームに仕上がりそうである。

The Bug Butcher
あ、これ頑張ったらTOP3いけちゃうんじゃ…… くっ、もう一回やるか!

開発しているAwfully Nice Studiosはアート担当とプログラム担当、二人きりの小規模デベロッパーだが、公式サイトによれば『楽しくて、幼い頃好きだったゲームを思い出させるようなゲームが作りたい』と掲げている。今のところ、それは順調に体現されつつある。暖かく完成を見守りたい。

■早期アクセスとは?

一言で言えば青田売り制度である。Greenlightに出品されているゲームは開発途上のものから他所ではすでに販売している完成品まで種々あるが、早期アクセスは例外なく未完成品しか取り扱われない。違うのはその度合いだけである。

作りかけとはいえ基本的には有料であり、開発者にとっては発売を前にして資金回収ができ、生の感想が得られ、さらにユーザーが自主的にバグチェックまで行うという夢の様な環境である。しかし、ユーザーにとってのメリットはそう多くない。

多くのゲームは開発の進捗に合わせて徐々に値段が上がっていくスライド方式を採っており、発売前から正価の50%OFFで買えてしまったりする。しかしこれはいうほど得をしていないのである。なぜって、半値で売っても惜しくないのだからゲームの方は半分もできていないのだ。

その段階でプレイしてみたところで「あれやこれや出来るって書いてあったけど全部未実装かよ!」となって終わり。完成する保証はないし、したとしても年単位で先の話。それも2年以内なら早い方といったペースである。

さらに言うと、その間MMORPGの無料オープンβ期間のようなイベント仕立ての定期的な更新を期待してもいけない。開発は面白いゲームの完成を目指しているのであって、継続的な娯楽を提供するわけではない。

私見ではあるが、早期アクセスは応援はしてもいいが期待してはだめという、存外に距離感を測るのが難しい奴なのである。慎重に接して貰いたい。

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