「Valve グッズ」および「Steam ハードウェア」のオンラインショップ移転のお知らせ

BC6900年からAC2015年まで、約9000年分遊べます『Tabletop Simulator』

ゲームタイトルTabletop Simulator
    開発元Berserk Games
パブリッシャーBerserk Games
     定価:1,980円(4パック6,080円)

筆者:GREENER
Steam プロフィール

今回ご紹介するTabletop Simulatorは、ゲームと呼んでいいのかはいささか疑問の残るソフトである。ゲームとして販売されてはいるが、その実態は一言でいえばものすごい高性能な汎用オンセ支援ツールに過ぎないからだ。

オンセ、オンラインセッションとは、テーブルトークRPG(以下TRPG)の遊び方の一形態。細かい説明は省くが、TRPGとは文字通り卓を囲み話すことがメインの遊びだ。その根幹はチャットソフトなどで代用しても損なわれるものではない。そうしてネットを介して行われるのがオンラインセッションで、ダイス等の不足を補ってやるのがオンセ支援ツールである。

Tabletop Simulator
彩色済みフィギアには攻撃や死亡など各種モーション付き!

本作はその延長上にあるもので、会議室や公民館を借りて集まる手間を省き、手軽にオンラインで遊ぶためのツールだ。しかしそれはなにもTRPGに限った話ではない。ボードゲーム、カードゲーム、タイルゲームにダイスゲームと、テーブルの上で行う古今東西のありとあらゆる非電源ゲームが対象なのだ。

Tabletop Simulator

そんなわけで本作には幾つかのテーブルゲームが同梱されている。オセロ、チェス、碁に麻雀。馴染みのない所ではバックギャモンやチェッカーとまあまあ豊富だが、正直この辺はどうでもいい。本作の真価は、その無節操なまでの拡張性の高さにある。ユーザーが各自で遊びたいゲームの素材データを用意すれば、それをいとも簡単にオンラインプレイ対応のゲームにしてしまうのだ。

Tabletop Simulator
画像は一人用カードゲーム『Card City Nights』で筆者が使っていた速攻デッキ。 素材のスクショ撮影からこの画像に至るまで20分もかかっていない。これならオンライン対戦可能だ!

というのも、シャッフルやディールこそ多少便利ではあるが、本作は基本的に現実に自分の手で行える以上のことは何ひとつできないからだ。例えばチェスならコマをどう動かそうと自由。そこへ移動可能かどうかといったルール上の判定は全てプレイヤーに委ねられ、システムはテーブル上で行われるあらゆる操作を一切関知しない。

だからこそどんなゲームでも遊べるし、オフラインで起こるどんなチョンボやルール間違いなども発生する。模擬的な卓上を共有するだけの、スタンドアローンとは真逆の外部依存型ツール。それがTabletop Simulatorである。

そんな本作の他力本願志向はデータの保持方法にも及ぶ。カードやボードの二次元素材に.tga(*1)だの.dds(*2)だの小難しいことは一切要らない。.jpgか.pngをImgur(*3)にでも置いてそのURLを登録するだけである。

*1 透過情報を持ったテクスチャ画像によく使われた形式。
*2 描画速度向上のため、予め縮小しておいた画像を何段階も保持できる形式。
*3 画像の保存・公開をしてくれるWebサイト。

Tabletop Simulator
こんな感じのものをちょちょいと用意して......(続く)

立体の場合も同じ。.objという形式で出力しなくてはならないが、これの中身は頂点座標を列記したシンプルテキストなのである。従ってこれもPastebin(*4)にでも貼ってURLを教えてやるだけでいい。

*4 テキストデータの保存・公開を行うWebサービス全般を指す。

Tabletop Simulator
モデリングなんかもしてやれば......(さらに続く)

つまるところ、ゲームのコンポーネント(構成部品)を自作した場合ですら、本作が保持するデータはURLだけなのである。ホストが配信するのも多くて200KB程度のURLだけ。鯖を建てさえすればあとは参加者が各自それぞれの場所に読み込みに行くという、恐ろしく手間のかからない仕様になっている。

Tabletop Simulator
こんな感じにできあがる。誰がどのコマを動かしても良いスパイゲーム『Undercover / Heimlich & Co. 配役決めカード、ボード、フィギアに特殊ダイスに金庫トークンにコマとダイストレーを全て自作した。

Workshopにも対応しているが、そちらで予めデータを配布しておく必要も自前の回線でデータを配信する必要もない。ゲームを立ち上げ画像を読み込ませたら、カードゲームならものの5分でもうオンラインで遊べてしまう。あの頃のぼくらが夢にも描けなかった未来がここにある。さすが2015年だ、そりゃデロリアンだって空くらい飛ぶ。

さて肝心のゲームの素材だが、大別して三通りの調達方法があるのではなかろうか。

Tabletop Simulator
フレンドがスキャンした競り系カードゲーム『ハゲタカのえじき』

まずは買って来たゲームをスキャンする。至極まっとうな手段である。オンラインで遊べるだけでなく、コンポーネントが汚損することもなければ紛失の心配もない。また海外のゲームを翻訳するにも、訂正シールを貼るより直に画像を編集してしまえばずっとスマートだ。

Tabletop Simulator
画像は作ってからこのくらいなら翻訳は必要ないなと気づいたカード達。

次にいっそ自分で描く。無茶なようだがこの方法にもメリットがある。ルールとコンポーネントの内訳さえ調べがつけば、どんな絶版ゲームであろうと思いのままに遊べるのである。過去に発表されてきたありとあらゆるゲームが選り取り見取り。素材を自作する限り、ルールの無断使用自体は合法である。

Tabletop Simulator
左上に数字さえ書いておけば、あとは適当でも遊べてしまうゲームはわりとある。

最後にPnPとも表記される Print & Play を利用する方法だ。これはルールやカードの図案を公開するから各自で印刷して遊んでねという方式で、ちょっとした小ネタゲームであったり試作品のテスト用であったり、絶版になった製品の救済など様々な理由で無料公開されているものがある。

Tabletop Simulator
画像はCheapass Gamesがフリー公開しているPnP Button Men(上)とTime Line(下)

ちょいとレアなケースを挙げると、Kickstarterで資金を募っているゲームでは40ドル払えば製品を送るが5ドルでもPnP用のデータは進呈するといった料金プランは珍しくない。本作と併用前提ならスキャンしなくて済む上に安上がりだ。

いずれにせよ本作は単体では大したことはできない。けれどビデオゲームの枠を超え、本来ならば出会うこともなかったであろう非電源ゲームとの架け橋となってくれるツールである。人類最古のゲームは紀元前6900年頃の遺跡から発掘されたという。約9000年分の積みゲーが遊ばれるのを待っている。

今すぐウォレットチャージでこのゲームをゲット!

PROスチーマーのSteamグループが出来ました!よろしければ参加をお願いします!