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ねぇガーミンこっち向いて 恥ずかしがらないで『Miasmata』

ゲームタイトルMiasmata
    開発元IonFX
パブリッシャーIonFX Studios
     定価:1,480円

筆者:GREENER
Steam プロフィール

今回ご紹介するのはこちら。マップを隅から隅まで埋めることに性的な興奮を覚えるタイプの変態さん御用達、前世は伊能忠敬だと言い張る人を正気に戻す特効薬。思わず深沢美潮先生(※1)に「スンマセンっした! 自分、正直マッパー舐めてました!」と謝りたくなること請け合いの測量がテーマのFPSである。

※1 小説家。代表作の主人公が詩人兼マッパー。ただし方向音痴。

Miasmata

主人公のロバートくんは死に至る病に冒されながらも、単身奇妙な島に流れ着く。辺りに人影はないが、原生植物から薬を作り出す設備だけは残されていた。それなら話は早い。見慣れぬ花や茸やら、そこらに生えているものを片っ端から調合してみればいいのだ。その内に治療薬だってできるに違いない。

Miasmata
Miasmata
中学校の理科室みたいだとか言ってはいけない

ところが我らが主人公はカバンを持っていないし、亜空間収納と書いてインベントリと読む特殊能力だってありはしない。一度に持ち運べる素材は片手で掴める量だけだ。さらに困ったことには、この島には全体を把握できる完成された地図がないのだ。せっかくサンプルを見つけても採取地点をメモっておけないし、下手をすれば見知らぬ森で遭難騒ぎである。

Miasmata
驚きの白さ! これからこいつを使える地図に仕立て上げます。

だが幸いなことに筆記具はある。方位磁針もある。ならば描くしかあるまい、この島の精確な地図を! というわけだ。

Miasmata
建物内にはその近辺の部分的な地図が残されているので、これを取っ掛かりにする。

測量と言っても距離を測ったりはしない。要はランドマークの位置関係さえ解ればいいので、縮尺なんか知ったこっちゃないのである。したがって作業内容も、理屈自体は小学生でも理解できるものだ。

工程としては大きく別けて二つ。一つ目は現在地の特定だ。

まず地図に描かれたランドマーク、基準となる人工物が二つ以上同時に視認できる場所に立つ。そこからそれぞれの目標物が見える方位を測り、その反対方向へ地図上で線を引く。卵岩(A)が北東に見えるならそこから南西へ、石塔(B)が西北西に見えるならそこから東南東へ線を伸ばすわけだ。二本の線が交わる場所こそが自分が今いる位置(x)になる。これは現実でもオリエンテーリングで山頂等を目印に行った経験がある人もいるかと思う。

二つ目が地図への新たなランドマーク、基準点の追記だ。

一つ目の方法で地図上での自分の現在地(x)を把握したら、そこで目印になり得る人工物を探す。それが北に見えるなら地図上の自分から北へ線を引く。このままではその直線上のどこか確定しないので、別の場所でもう一度既知の基準点(A・B)を使って自分の位置(y)を特定して、そこから目標物が見える方向を測って線を引く。そうすると目標物の地図上での位置(C)が確定するわけだ。こっちの作業は実生活では一切馴染みがないが、理屈としては一つ目のと変わらない。

Miasmata
プラスのアイコンはランドマークの追加

ゲーム内での操作としては、地図を開くと歩けなくなるので既知の目標物二つをそれぞれ視界中央に捉えてクリックするだけ。これが成功する度に自分の周囲、見渡せる程度のごく狭い範囲の地形が地図に描き込まれる。またその状態で未知の目標物をクリックすれば、一度目なら線が引かれ、二度目なら交点に新たな基準点が追加される。

Miasmata
たぶん今この辺かなー

こうして少しずつ地図を埋め、またその足がかりとなるランドマークを増やしていくのがゲームの本編だ。死にそうなわりになんとも地道というか悠長な手法を採っている気がするが、おそらく途中から地図を埋める作業が楽しくなってきて病気とかどうでもよくなっている。少なくともプレイヤーはなる。筆者はなった。

Miasmata
HUDは無いので時計もコンパスもかざして見る

さてここまでの話だとなんだかコンパス片手に歩き回るだけに聞こえるかもしれない。概ね合っている。しかしそれがWalking Simulatorと揶揄されるような漫然と歩くだけのヌルゲーを意味するかというと決してそんなことはない。どちらかと言うと難しくて投げ出したくなる類のゲームの方がまだ近い。

Miasmata
無理に森を突っ切ろうとするとこの視界の悪さだ

なぜって、まず地形が意地悪い。島は全域に渡って起伏に富んでおり、そこら中に生い茂った草木が視界を遮る。手近な高台に登れば辺りが一望できるというものでもないのだ。かといって蛇行する獣道を辿るとあっと言う間に距離感や方向感覚を失ってしまう。

Miasmata
ふむふむ、調査結果は特筆すべき薬効なし、と ……普通のヒマワリじゃねーか!

また癖のある運動能力が自由な探索を阻む。ロバートくんは登るだけなら優秀と言える。斜度45°くらいの正面からみたらほぼ壁みたいな箇所もぐいぐい登る。けれど降りられなくなるのだ。下りでは重力による加速を御せず、足をもつれさせて派手にスッ転んでしまう。画面はぐるぐる回って針路を見失うわ持っていたものは落とすわ、挙句に連続で転ぶとそれだけで体調を悪化させて死んでしまう。そう、彼はある意味スペランカー先生(※2)よりひ弱な、ジャンプをしなくても下り坂で死ぬ主人公なのだ。

※2 下り坂でジャンプすると落差が大きくなりすぎて死ぬ伝説の素人探索者

歩くだけで書き込まれていくオートマッピングはないし、オートセーブもないのでせっかく書き込んだ地図も死ねばあっさり巻き戻る。結果として、歩いて地図をみて目標物を見つけて書き足すというだけの作業になんだかゲーム性が発生している。無事にセーブできて思わず安堵のため息がでることもあるくらいだ。

兄弟で興したという二人きりのスタジオ製作なので足りないところも多々あるが、筆者はこういう過去に味わったことのないプレイ感を与えてくれる特異なゲームは好きだ。分かりやすく遊び慣れたシステムを発展させたものも悪くはないが、時々はこうした挑戦的なジャンルも食わず嫌いせずに食べてみよう。そのまま珍味にドハマリするもよし、いつも食べてるご飯のありがたさや完成度の高さが改めて分かるのならそれはそれでよしだ。

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