『XIIZEAL』Steamリリース記念!トライアングル・サービス藤野社長インタビュー

2015年6月5日にトライアングル・サービスの『XIIZEAL』が弊社からリリースされました。それを記念して社長の藤野俊昭氏にインタビューしました。

――Steamでの『XIIZEAL』のリリースおめでとうございます。クラシックなSTGがPCゲーマーや海外ユーザーにも届けられるのは素晴らしいことです。トライアングル・サービスは藤野さんが1人で運営してきたそうですね。

藤野:もともとは『DELTAZEAL』という作品を別の会社で作っていました。ところが開発費が未払いのままパブリッシャーがバックレてしまったんですよ。そこでプロジェクトを個人的に引き継いで始めたのがトライアングル・サービスです。以前はスタッフが1人か2人いましたが、ゲームセンター版の『シューティングラブ。2007』を作り終わった後から、ずっと1人で運営しています。最初に独立したときは普通の会社として社員を雇っていこうと思っていました。しかしながら、ゲームがそれほど売れないので、継続していくには1人でやるしかなかったんです。トライアングル・サービスはゲームセンターのゲームを作るためにつくった会社です。ところが2000年の頃からゲームセンターはどんどんなくなっていきました。とくにSTGを作っている会社は大きい会社から撤退しました。KONAMIやCAPCOMはいち早く撤退、中堅の彩京やCAVEも撤退してしまった。残ったのは1人でやっている我々だけです。STGにこだわっていると、1人だけの会社しか残れないのです。

――会社の外部に協力してくれる人はいますか?

藤野:一番新しい『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』のグラフィックスはデザインが得意な会社に頼んでいます。あと音楽はずっと同じ人に頼んでいます。それ以外は社長の自分がすべてやっています。

他に協力者といえばセガです。今のトライアングル・サービスが存続できている理由はセガにあります。最初の作品『XIISTAG』のリリース後、新しいグラフィックデザイナーを迎えて作った『TRIZEAL』はとても難産でした。ポリゴンを使用したゲームを作るのははじめてで、しかもプログラム担当の僕は数学が苦手だった。そして完成したゲームはあまりゲームセンターに買ってもらえなかったので、トライアングル・サービスは終わりを迎えようとしていました。家庭用の『XIISTAG』はPS2版の移植と販売をTAITOが請け負ってくれましたが、『TRIZEAL』では断られました。もう存続の手段は無いとあきらめかけていた頃『式神の城』の開発者に相談しセガの人を紹介してもらいました。そして既に完成していたDreamcast版『TRIZEAL』をセガからリリースしてもらえないか相談したところ、自社で販売した方が利益が大きいからパブリッシャーをやった方がいいよと勧められました。

「トライアングル・サービスがピンチです!」のメッセージを出したのはその頃です。ドリームキャスト版『TRIZEAL』もきっと売れないだろうと考え、少ない売り上げは借金の返済にあて会社を畳もうと思っていました。しかし、ただ諦めるには心残りが大きかったのでせめて最後に爪痕を残して去ろうと思いメッセージを発信しました。

結果的にそのメッセージでトライアングル・サービスを知った人は多く、次のゲームの開発資金を捻出できました。とても有り難かった。セガさんがパブリッシャーにしてくれなかったらとっくの昔にトライアングル・サービスは終わっていました。

そして次のゲーム、ゲームセンター版『シューティングラブ。2007』と、その家庭用ゲーム機版Xbox 360版『シューティングラブ。200X』はたくさんの人に喜んでもらえて、少し恩返しが出来たと思いました。特にゲームセンター版では全国大会を開催して僕自身全国を回ってゲームセンターやお客さんに直接お礼を言えました。他社含めてゲームセンターのシューティングゲームの全国大会は初の試みで、どんな人がゲームを作ってるかも想像するしかなかった。そういったモヤモヤを形にしたイベントでした。(全国大会の模様はXbox360版『シューティングラブ。200X』パッケージ版同梱DVDに収録されています。)

――今回はSteamでのリリースですが、何か苦労した部分はありますか?

藤野:移植に関してはまったく苦労していません。というのも、もともとPC版があったからです。さっき言ったとおり、『TRIZEAL』はセガのNAOMI基板でポリゴンを使用する必要がありました。ポリゴンの描画の仕方がわからなかったので、1ドットずつ計算していく方法をPCで試していたんです。そこで練習としてゲームセンター版の『XIIZEAL』をPCに移植する作業を一度やっていました。

――では今回はある意味、得意なPCプラットフォームでリリースできたわけですね。

藤野:『DELTAZEAL』に至っては、ゲームセンター版の開発時点にPC版もありました。なのでこちらもSteamでのリリースを予定しています。開発自体はやはり、ゲーム専用機よりもPCの方が効率が良い。なので最近はできる限りPCで先に開発するようにしています。

――次の質問は『XIIZEAL』について。『XIIZEAL』にはサイドアタックという興味深い特徴があります。これは何から着想を得ましたか?

藤野:このシステムは2つの理由で取り入れました。ひとつは『XIIZEAL』と『DELTAZEAL』の稼動開始が同じ年だったこと。もともとは同じシステムで作っていたゲームなのですが、意図せず同じタイミングで稼動開始になりました。『DELTAZEAL』は『雷電』スタイルの普通のシューティングなので、似たようなゲームは市場に必要ないだろうと考えました。もうひとつは、80~90年代の東亜プランに代表されるSTGは手動での連射が重要な攻略要素でした。耐久力のあるボスに接近して連射して、攻撃が激しくなる前に破壊するといったプレイフィールは自分がゲームをコントロールしている感覚があります。痙攣打ちがいいのかピアノ連打がいいのかこすりがいいのかといった試行錯誤がプレイ結果に反映されるゲームデザイン。それがSTGの醍醐味だと思っていました。

ところが『XIIZEAL』を開発した2000年頃は、ゲームに連射機能が搭載され、『式神の城』やCAVEのゲームといった連射力を必要としないものが人気になりました。大量の敵弾をいかに避けるかといういわゆる弾幕系です。それはかつて自分が好きだったSTGとは違うと思いました。『XIIZEAL』にも時代の流れで連射機能を入れてしまい、連射する心地よさは捨ててしまったので、その替わりにレバー操作で敵を破壊するシステムを考えました。ボムも緊急回避ではなく、画面内で無敵になるエリアを作り、その中で主体的に攻撃するようにしました。サイトアタックとボムバリアをうまく使えば80~90年代のSTGのような手応えのある遊び方が出来ると考えたのです。当時の『XIIZEAL』のキャッチコピー『シューティングの主役は弾幕じゃねぇ、自機だ、いや、プレイヤーだ!』はそういった考えを表したものです。あとは当時のTAITOの担当者が『サイヴァリア』や『ナイトレイド』を担当していて、そこから影響を受けたかもしれません。それらのゲームもレバー操作が重要で、レバーを横に振るのが『XIIZEAL』、縦に振るのが『サイヴァリア』、めちゃくちゃに振るのが『ナイトレイド』。

――ほかにもゲーム開発に対するインスピレーションはありますか?

藤野:小説もよく読みますよ。オフィスにも本があります。最近は高野和明の『ジェノサイド』が面白かった。後は辻真先といった先の展開が読めないミステリーが好きですね。音楽も詳しくないけど好きです。昔は仕事中にずっと音楽を聞いていた。『XIIZEAL』の開発のときは、1日ずっとカーネーションのアルバムを聞いていた。矢野顕子とカーネーションが好きですね。もしかしてリズムとかに影響があるのかもしれない。

――次の質問です。藤野さんはSTG専門の開発者といっても良いと思うんですが、STGが最も好きなんでしょうか?ほかのジャンルはどうですか?

藤野:ゲームを作るきっかけは『グラディウス3』だったので、一番強い憧れを持っているゲームセンターのSTG。それは今も変わらないが、STGは結構数を作ってきたので、もっと広いユーザーに対して『アクション技能検定』なども作っています。

――STG以外で好きなゲームは?

藤野:Xbox360がそろそろ終わると思って、今更、『Dead Space』をやっている。ホラー要素とアクション要素がうまく合わさっています。

――海外の人にはアーケードゲームという世界はあまり知られていませんが、その開発に携わってきた中で何か興味深いエピソードがあれば何か教えてください。

藤野:アーケードでのロケーションテストはやっぱり面白い。特に『シューティング技能検定』のロケテストは最高に面白かった。基本的にSTGのロケテは静かなんです。人気あるCAVEのゲームでも普通は静か。だけど『シューティング技能検定』のロケテストはギャラリーが多く、なんども爆笑が起こった。隕石をたくさん壊すゲームがあるんだけど、失敗するとバカヤロウと怒られます。それを見てギャラリーがドッとわくみたいな。

――なるほど。ではゲーム開発を始めようと思っている人に対して何かアドバイスがありますか?

藤野:身近な人を楽しませることを考えるのがいいと思う。ゲーム完成しなくても、友達に単純にすげえって言わせるだけでもいい。作りかけのものでも人に見せた方がいい。

――具体的な指摘ですね。藤野さんも開発中にゲームを見てもらえる友人などはいるんですか?

藤野:いますね。

――分かりました。次は今後の話ですが、Xbox Oneで『シューティングラブ・トリロジー』のリリースの予定があります。これについて何か新しい情報を教えてください。

藤野:頑張って作っています(笑)。基本的には純粋新作なので楽しみにしておいてください。

――他のプラットフォームでのリリースする予定はありませんか?

藤野:PS4とWiiUは今のところないです。PCは分からない。会社の方針として、ゲームセンターのゲームを作ることを第一に考えています。

――STGの黄金時代は既に過ぎ去ったように思いますが、藤野さんは今でも開発を続けています。今後はSTGの世界はどうなっていくのでしょうか?

藤野:小規模に個人で開発している人はたくさいんいます。うちはゲームセンターを第一に考えているのですが、2010年代に入るとゲームセンターのSTGの基盤もWindowsなんです。Xbox OneもWindowsなんです。結局、プラットフォームはWindows一択なんじゃないかなと思う。だからXbox Oneでリリースした後、ゲームセンターで出すなんて人もいるかもしれない。

――昔に比べるとアーケードでリリースするのもハードルが下がりましたよね。

藤野:今はものすごくハードル低いです。出してくれるだけでありがたいとか言われる。もちろん、クオリティ低いの持っていくと断られますが。

――分かりました。ではPCではどうでしょう?今後、リリースする予定はありますか?

藤野:Steamは『XIIZEAL』は今回が初めてですが、たくさん売れるようだったらほかのタイトルも移植したい。あとアーリーアクセスの仕組みは面白いと思う。最近はアーリーアクセスで『Dirt Rally』を買いました。アーリーアクセスは面白い仕組みだと思う。例えば、新作のSTGを、ロケテスト的な意味合いで先にアーリーアクセスでSteamで出す。そしてブラッシュアップしてからアーケードでリリースして最後にXbox Oneでリリースするというのもありかなと。

――それは面白そうですね。今日はありがとうございました。

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